メタが廃止予定のファクトチェッカー、ロス山火事をめぐる陰謀論と格闘
ロサンゼルス(CNN) フェイスブックやインスタグラムなど大手SNSを運営する米メタが7日、米国で第三者による投稿のファクトチェックを廃止すると発表した直後に、カリフォルニア州ロサンゼルスで山火事が拡大した。メタ傘下のファクトチェッカーたちは今、山火事をめぐる陰謀論と格闘している。
SNS上では山火事についてのうわさや臆測が拡散し、それが巨大な陰謀論となって炎上した。
「SNSからファクトチェックをなくすのは消防署をつぶすようなもの」と語るのは、メタが出資する数十社のファクトチェック業者のひとつ「リード・ストーリーズ」の共同設立者で、元CNN記者のアラン・デューク氏だ。
リード・ストーリーズがインスタグラム上でチェックした動画のひとつには、「民主党が牛耳る街で火事、略奪」と題し、民家からテレビを持ち出そうとする集団が映っていた。実際には略奪犯でなく、家財を守ろうとする住人の家族だったことが判明。投稿には警告ラベルが表示された。
フロリダ州のファクトチェック団体「ポリティファクト」は、警察が火元にいた3人の「参考人」を捜しているとの虚偽情報や、有名なハリウッドサインが炎上するねつ造画像に対応した。
偽情報の多くはメタのSNSに限らず、影響力の大きな人物らによって拡散されている。トランプ次期大統領は山火事が民主党の責任だと非難し、陰謀論者のアレックス・ジョーンズ氏は米国に対する「グローバリストの陰謀」と主張。政府が気象を操作しているとの説まで流れた。
メタのファクトチェック廃止で多くの契約業者は人員削減や閉鎖を強いられるが、デューク氏は「虚偽の主張にプロが対抗しない限り、作り話や不信感は広がり続ける」と警告を発した。