ウイルスに「怒り」――東京のすし店も客足途絶え苦境に
東京(CNN) 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京都内のすし店や魚市場もすっかり客足が途絶え、苦境に陥っている。
渋谷区の鮨(すし)〇✕(まるばつ)は、十数席の小さなすし店だ。店主の杉浦秀樹さんはCNNとのインタビューで「とにかく客が来なくなった」「とても悲しい。ウイルスに怒りを感じる」と語った。店の売り上げは半減している。
杉浦さんはこの9年間ほとんど休むことなく、早朝の市場に通ってきた。最初は築地、2018年に移転してからは豊洲へ。仕入れる魚の種類と価格を見て日替わりメニューを考える。
だがいつも来ていた昼休みの会社員もランチ会の主婦も、ぱったりと顔を見なくなった。昨年10月の消費税引き上げで低迷していた商売に、新型ウイルスが追い打ちをかけた。
東京を拠点とするエコノミストのイェスパー・コール氏は、国内消費や外国からの観光客など「需要の主なけん引役が事実上、全てストップした」と指摘する。景気への効果が期待されていた東京五輪も延期が決まった。
杉浦さんは「この状態が続いたら店をしまうしかない」と話している。
店主の杉浦秀樹さんは新型コロナの影響を受け、店の売り上げが半減したと語った/Rebecca Wright/CNN
市場移転後も残った築地場外市場は、かつて観光名所として多くの客でにぎわっていたが、一部の店では売り上げが7~8割も落ちた。
23年前からここの干物店で働いているという男性は、「世界中からの客があふれて道を通り抜けることさえできなかった」と振り返り、「今はひどいものだ」と嘆いた。
南米コロンビアから3年ぶりに訪れたという客も「歩けないほどのにぎわいだったのに」と話す。
路地裏のすし店はこの1~2カ月で何軒も店じまいした。コール氏によると、事態は今後少なくとも3~4カ月、さらに悪化する恐れがあるという。