過去1200年で最も早かった日本の桜、生態系脅かす気候変動の兆候と専門家
桜の開花は気温に大きく左右される。気温が低かった1820年代に比べて、現在の気温は約3.5度高くなったと青野氏は言う。
しかし香港中文大学のアモス・タイ准教授によると、開花の早まりは世界中で起きている現象の氷山の一角でしかない。開花が早まれば生態系全体に影響を及ぼしかねず、多くの種の存続を脅かす恐れもある。
タイ氏によると、植物や昆虫は互いに大きく依存する関係にあり、いずれも自然環境を利用して「生命サイクルのさまざまな段階でタイミングを調整している」。
例えば植物は自分の周りの気温を感じ、暖かさが続くようになれば花を咲かせて葉が出始める。同様に、昆虫や動物の生命サイクルも気温に左右され、気温が高くなれば成長が速まる。
「植物や昆虫などの有機体との関係は、数千年から数百万年かけて発展してきた」とタイ氏は言う。「だが今世紀に入ると気候変動で何もかも破壊され、そうした関係が全て混乱している」