日本で大人気のビーフコロッケ、予約30年待ち
生産を増やしても人気は衰えず
極みコロッケは、その安さとは裏腹に素材の良さが際立っている。保存料を一切使わず、毎日新鮮なものを手作りしている。材料はA5等級の3歳雌の神戸牛と、地元の農家から仕入れたジャガイモを使用している。
新田さんは、農家に対しジャガイモの栽培に牛糞(ぎゅうふん)肥料を使用することを薦めてきたという。ジャガイモの茎はいずれ牛の餌になるため、循環が生み出される。
やがて、新田さんのユニークなコンセプトは、地元の人々やマスコミの目に留まるようになった。2000年代初めに旭屋のコロッケが報道されると、その人気は急上昇した。
待ち時間が14年を超えたため、旭屋は16年に極みコロッケの販売を中止した。だが、販売を再開してほしいという声を多く頂いたと、新田さんは振り返る。
旭屋は17年にこのコロッケの販売を再開したが、その際に消費税込みで500~540円に値上げした。
だが、神戸牛の輸出が始まったことで牛肉価格が2倍に跳ね上がったため、値上げ後もコロッケの生産で赤字になることは変わっていない。
生産個数も週200個から、1日200個に引き上げた。
実際のところ、極みコロッケは他の商品よりはるかに人気だと、新田さんは自身の赤字事業のアイデアについて苦笑交じりに語っている。
もっと人を雇って早くコロッケを生産すべきだという意見もあるという。だが、より多くの従業員を雇って生産量を増やし、より多くの赤字を出す店主はいないと新田さんは言う。待たせているお客さんには申し訳ないし、早くコロッケを作って速やかに届けたいが、そうしたら店がつぶれてしまう、という思いを抱えている。
新田さんによると、幸いなことにコロッケを食べた客の約半数が神戸牛を注文しているというので、販売戦略としては正しいのだろう。
新田さんの使命:神戸牛をもっと多くの人に食べてもらうこと
極みコロッケの値段は、1箱5個入りで2700円。
旭屋はコロッケの発送を待つ顧客に定期的にニュースレターを送り、最新の発送予定日を通知している。そして、配達日の1週間前に再度、配達の確認をする。
メールアドレスを変更している人もいるので、その場合は直接電話で発送日を伝えているという。新田さんによれば、ホームページから自分でアドレスを変更することや、旭屋から電話を受けた際にその旨を伝えることもできるという。
最近、10年前に注文した客のもとに、ようやくコロッケが届いた。