中国が国境再開 中国人旅行者がまず向かう先は?
アルト氏もその傾向に気付いている。
アルト氏は「中国人海外旅行者たちの需要や期待に大きな変化が見られる」とした上で、「中国も気候変動の影響に苦慮しているため、中国の若者は持続可能性や環境問題に対する関心が高い」と付け加えた。
ドラゴントレイルが22年に実施した調査では、今後旅行を予定している人の48.3%が環境に配慮している宿泊施設を選ぶと回答した。また全体の45.5%が野生動物を見る際にクルエルティーフリー(動物虐待を伴わない)の手段を選択すると回答し、さらに37.9%がごみ拾いや車の代わりに自転車に乗るなどして、現地の環境保全に個人的に貢献すると答えた。
また、海外旅行に行く理由としては「現地の食べ物を味わう」(60.8%)、「現地の生活を体験する」(56%)、「ビーチや海を訪れる」(51.8%)が上位を占めた。
しかし、中国人旅行者が旅先でしたいことに関して、全てが変わったわけではない。
「中国人の旅行に関してパンデミック前に高まっていた傾向や嗜好(しこう)の多くは、パンデミック後も続いている。その例として、自然や野外活動、レンタカーを借りて自ら運転する車の旅、団体旅行から個人旅行への移行などが挙げられる」とパルリスクック氏は言う。
またパルリスクック氏は、コロナ時代に中国で人気が急上昇した活動としてグランピング(豪華な設備やサービスを利用しながら自然の中で快適に過ごすキャンプ)を挙げる。
「グランピングやキャンピングは、パンデミックの間もその地域を旅したり、自然の中で過ごしたりする新しい方法で、中国のソーシャルメディアでも大きな話題になった」とパルリスクック氏は言う。
また中国でのグランピング人気を考えると、中国人旅行者が日本やタイなどでグランピングをしても不思議ではないという。
実際、中国のソーシャルメディアでは日本やタイの業者が中国のネット民向けにグランピングの宣伝を行っている。
またアルト氏によると、海外での生活、学習、キャリアの追求といった、より長期の旅行に対する需要もあるという。
「シンガポール、ロンドン、トロント、シドニーの中から移住先を選ぶためにさまざまな場所に出かける人は多い。(真っ先に旅行を再開する人々の中に)これらの人たちも含まれるだろう」(アルト氏)