オーストラリア、国防省から中国製カメラ撤去へ
シドニー/香港(CNN) オーストラリアのマールズ国防相は10日までに、中国製の監視カメラを国防省の施設から撤去すると発表した。スパイ活動への懸念に基づく措置だとしている。
スパイ活動の懸念に言及した野党・自由党のジェームズ・パターソン上院議員は8日、中国製のセキュリティー機器について、政府施設での使用状況の「監査」を実施したと明らかにした。その結果、監視カメラやアクセス制御システム、インターホンを含む913の機器が中国国営企業のハイクビジョンと浙江大華技術(ダーファ)の製品であることが分かったという。
パターソン氏は8日のラジオでのインタビューで、「これらの企業は中国共産党と極めて密接な関係があり、中国の国家情報法の影響下にある。この法律は中国のあらゆる企業と個人に対し、要請があれば中国の情報機関に秘密裏に協力することを義務付けている」と説明。過去にはこれらのカメラに関する脆弱(ぜいじゃく)性が明らかになったこともあるとした。具体的には第三者が完全に機器をコントロールし、音声や映像を収集できる状態にあったという。
マールズ国防相はこれを受け、「(深刻さを)誇張すべきではないと思うが、注意を喚起したのは重要だ。我々は問題解決に取り組んでいく」と述べた。
別のラジオインタビューでマールズ氏は、国防省が省内のあらゆる監視技術の査定を行っていると発言。これらの特定のカメラが見つかった場合はこれを撤去する方針を示した。
オーストラリア政府の中国製カメラに対する懸念について問われた中国外務省の報道官は、同国の立場として国家安全保障の一般化や国家権力の乱用に反対すると強調。オーストラリア政府の行動は中国企業を差別、圧迫するものだとの認識を示した。