米スタートアップの挑戦、超音速旅行の大衆化は実現できるか

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「シンフォニー」と呼ばれるエンジンは、騒音に特段の注意を払って設計されている/Boom Supersonic

「シンフォニー」と呼ばれるエンジンは、騒音に特段の注意を払って設計されている/Boom Supersonic

しかし、SAFのインフラ整備は遅れており、超音速旅行が持続可能であるという考えを売り込むのは難しいだろう。超音速機のエンジンは比較的多くの燃料を燃焼させる上、オーバーチュアの収容力が限られているため、乗客1人当たりの炭素排出量が通常の旅客機に比べはるかに大きくなるためだ。

先行きに不安?

オーバーチュアにはいくつかの不安材料がある。

航空関係のコンサルティング会社シリウムのシニアコンサルタント、リチャード・エバンス氏によると、オーバーチュアを運航する航空会社の成功は、同機を従来の長距離航空機と同じように運用できるか、つまり、年間4000~5000時間の飛行時間を確保できるかにかかっているという。

これは座席あたりの莫大な所有コストを償却するためだが、エバンス氏は、コンコルドでも年間の飛行時間は1000時間ほどだったとし、オーバーチュアが年間4000~5000時間の飛行時間を確保するのは非常に難しいとの見解を示した。

またエバンス氏は、29年の商業運航の開始についても懐疑的だ。エバンス氏はボーイング777―9を例にとり、既存の航空機の派生型で、全くの新機種ではない777―9ですら開発に12年かかるとし、残り6年でオーバーチュアの認証を取得するのは困難だろうと指摘した。

そして最後にエバンス氏は、超音速機は、燃料がSAFか従来の燃料かにかかわらず、乗客1人あたりの燃料消費量が従来の航空機よりもはるかに多くなるとし、超音速セクターが航空業界の脱炭素の目標と適合するのは難しいとの見方を示した。

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