革新的な機内コンセプトに見る、フライトの未来 クリスタル・キャビン・アワード発表

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革新的な航空機の客室内装コンセプトをクリスタル・キャビン・アワードが表彰した/Courtesy Ameco/Crystal Cabin Awards

革新的な航空機の客室内装コンセプトをクリスタル・キャビン・アワードが表彰した/Courtesy Ameco/Crystal Cabin Awards

ドイツ・ハンブルク(CNN) エコノミークラスの客室で乗客が向かい合って座れるように設計された座席や、超長距離フライト中でも動き回れる空間まで、航空機の未来が見えるクリスタル・キャビン・アワードが今年も発表された。

クリスタル・キャビン・アワードは毎年、航空機の客室内装のイノベーションに注目し表彰。ノミネートされるアイデアは、すぐにでも実現できるものから、航空会社が支援する取り組み、実験的で実現には遠いデザインまで多岐にわたる。

今年は、アメコ社の「フライ・バディ・ハブ」という目を引くコンセプトが候補に挙がった。同社が「多目的ソーシャルハブ」と表現するこのコンセプトは、エコノミークラスの客室の2列を再配置して6人の乗客が向かい合って座れるようにするものだ。

アメコ社の「フライ・バディ・ハブ」は、ベッドにもコンバートできる設計/Courtesy Ameco/Crystal Cabin Awards
アメコ社の「フライ・バディ・ハブ」は、ベッドにもコンバートできる設計/Courtesy Ameco/Crystal Cabin Awards

28人の業界専門家は今年初め、最終候補を絞り込み、ドイツのハンブルクで開催された航空機内装博覧会で行われた式典で8部門の受賞者を発表した。

今年受賞したコンセプトの中には、カンタス航空と提携しディール・アビエーションが設計した「ウェルビーイングゾーン」がある。これは、カンタス航空が計画しているシドニーとロンドン、ニューヨークを結ぶ19時間以上の超長距離フライト「プロジェクト・サンライズ」のために設計された。

このデザインは「乗客の快適性」部門で優勝。カンタスの航空機「A350」のプレミアムエコノミーとエコノミークラスの間に広々とした空間を設け、乗客が足を伸ばしたり、軽食を取ったり、動き回ったりできるスペースを提供している。

「より民主的なアプローチ」

「乗客の快適性」部門は、ディール・アビエーションがカンタス航空と提携して設計した「ウェルビーイングゾーン」が受賞/Courtesy Qantas
「乗客の快適性」部門は、ディール・アビエーションがカンタス航空と提携して設計した「ウェルビーイングゾーン」が受賞/Courtesy Qantas

クリスタル・キャビン・アワード協会のキャロライン・オクスリー氏はCNN Travelに対し、今年の最終候補は乗客体験の向上に「より民主的なアプローチ」を採用していると語った。

オクスリー氏は、ウェルビーイングゾーンはビジネスクラスやファーストクラスではより一般的なコンセプトだが、両社は最も安価なエコノミークラスの乗客にもメリットを提供することを考えていると指摘する。

「健康と安全」部門で優勝したアクセンチュアの「アクセンチュアPED安全バッグ」は、搭乗体験全般の改善を目指している。このコンセプトは、機内でリチウム電池が発火する懸念に対処するものだ。個人の機器が発火した場合、このバッグに入れれば最大6時間、安全に保管できる。オクスリー氏はこれを「非常に説得力がある」と評している。

同様に「健康と安全」部門の候補で話題を呼んだのは、シュロス・セーフティ・プロダクツ社の「エア・プロ」だ。飛行機の座席の下に設置された衝突センサー技術と組み合わせたこのシートベルトエアバッグは、緊急時に素早く作動して乗客をけがから守ってくれる。

持続可能性の探求

クリスタル・キャビン・アワードは、航空機をより環境に優しいものにするアイデアにも注目を集めようとしており、オクスリー氏は「実践的なソリューション」が表彰されたと示唆する。

「持続可能な客室部門」では、飛行機の壁をより環境に優しいものにする、ディール・アビエーションの「エコ・サイドウォール」が受賞した。この部門の最終候補には、レカロ・エアクラフト・シーティング社の「R・スフィア」が残った。これは、リサイクルされた漁網やサボテンなどの持続可能な素材で飛行機の座席を作るという興味深いアイデアだ。同社はこの100%リサイクル可能な座席により、航空機1機あたり年間63トンの二酸化炭素排出量を削減できると主張している。

「大学」部門は、次世代のイノベーションに注目。今年は中国・上海の同済大学による「フレキシフォールド」シートが受賞した。これは、エコノミークラスの座席に簡単に適合させることができ、座席の柔軟性を高めることを目的としている。

ブラジルのサンパウロ大学らが設計した航空機全体のノイズキャンセリング装置は、次世代のイノベーションとして注目を浴びた/Courtesy University Sao Paolo/Crystal Cabin Awards
ブラジルのサンパウロ大学らが設計した航空機全体のノイズキャンセリング装置は、次世代のイノベーションとして注目を浴びた/Courtesy University Sao Paolo/Crystal Cabin Awards

大学部門では、ブラジルのサンパウロ大学らが設計した航空機全体のノイズキャンセリング装置も注目に値する。この未来的なコンセプトは、人工知能(AI)と機内カメラを使用して音波を乗客の頭に向けることで、エンジン音を低減させる。乗客一人ひとりがヘッドホンを装着する必要はない。

一方、米バージニア工科大学はコリンズ・エアロスペースらと協力して、「車椅子スペースおよび固定システム」を開発した。この鉤(かぎ)をベースとした装置によって、車椅子の利用者はフライト中ずっと車椅子に座ったままでいられるようになる。この設計は現在、コリンズ・エアロスペースの車椅子航空機ソリューションの基礎になっており、今年の航空機内装博覧会で展示され、業界で大きな反響を呼んだ。

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