エアバスA340、長距離フライトへの期待背負った4発機が間もなく見納め?

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A340は初就航直後、当時の旅客機によるノンストップ飛行の最長記録を打ち立てた/Federico Gambarini/picture alliance/Getty Images

A340は初就航直後、当時の旅客機によるノンストップ飛行の最長記録を打ち立てた/Federico Gambarini/picture alliance/Getty Images

(CNN) 超大型旅客機エアバスA380は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に退役の一歩手前まで追い込まれたが、現在は着実な復活を遂げている。それに対し、同じくエアバス製の4発機で、A380の旧型であるA340は、永久に空から姿を消す危機に直面しているようだ。

A340は30年前にルフトハンザとエールフランスが導入したが、それ以降に生産されたのはわずか380機で、2012年を最後に生産は停止された。一方、エアバスはA340の後継機であるA350を2015年の導入以来すでに565機も生産している。

A340に対する商業的な反応は芳しくなかったが、エアバスは同機に大きな期待を寄せていた。A340は、老朽化したボーイング747やマクドネル・ダグラスDC―10の代替機として開発され、最長の航続距離を誇ると宣伝されていた。

1993年の初就航の直後、A340はパリ航空ショーからニュージーランドのオークランドまで飛行し、5時間滞在した後、パリに戻った。この時の総飛行時間は42時間以上に及んだ。これは欧州・ニュージーランド間の初のノンストップ飛行で、当時の旅客機によるノンストップ飛行の最長記録だった。

全盛期には、世界最長のノンストップ定期便に使用され、さらにその機体の大きさと航続距離の長さから各国首脳の専用機にも採用された。

しかし、間もなくA340の主な特徴である4基のエンジンが足手まといになった。燃料費が上昇し始めたのに加え、双発ジェット機がより低コストで4発機に引けを取らない性能を発揮し始めたからだ。

その結果、2000年代初頭までに、A340の主な競合機である双発のボーイング777の売れ行きが10対1でA340を上回っていた。さらに777は、1997年にシアトルからクアラルンプールまでのノンストップ飛行に成功し、航続距離の最長記録も奪った。

双発機の優位性

機体の大きさと航続距離の長さからA340は各国首脳の専用機にも採用された
/Jens Büttner/picture alliance/dpa/Getty Images
機体の大きさと航続距離の長さからA340は各国首脳の専用機にも採用された /Jens Büttner/picture alliance/dpa/Getty Images

航空分析企業シリウムからCNNに提供されたデータによると、2024年2月時点で稼働中のA340は、全世界で17の航空会社が計64機を運用しているにすぎず、パンデミック前の2019年初頭からほぼ半減している。

現在10機以上を運用しているのはルフトハンザだけで、エールフランス、イベリア航空、シンガポール航空、ヴァージン・アトランティック航空など、かつて多くのA340を有していた大手航空会社も運用を完全に停止している。

4発機を絶滅に追い込んでいる主な要因の一つとして、ボーイング787やエアバスA350など、より新しく、信頼性の高い双発ジェット機の安全性評価が徐々に高まり、2基のエンジンのうち1基が停止しても長時間の飛行が可能になった点が挙げられる。

以前は、この点については4発機の方に分があった。

コンサルティング企業アビエーションバリューズの航空アナリスト、ゲイリー・クリクロウ氏は、「双発機のエンジン1基が停止するのと、4発機のエンジン1基が停止するのでは、前者の方がより重大な問題なのは明らかだ」とした上で、「しかし、ボーイング777が導入された90年代後半以降、適格な航空会社はエンジン単発での飛行時間が最大3時間まで認められるようになった」と付け加えた。

「現在、エアバスA350は(エンジンが1基停止しても)最大370分、距離にして2500海里(4630キロ)まで飛行可能な認証を取得している。これにより柔軟なルーティングが可能になり、遠く離れた2都市を結ぶ路線を運航したい航空会社は、もはや4発機は不要になった」(クリクロウ氏)

まれに見る美しさ

A340は利用客の中にもファンが多く、運用の減少を悲しむ声も上がる/Alex Kraus/Bloomberg/Getty Images
A340は利用客の中にもファンが多く、運用の減少を悲しむ声も上がる/Alex Kraus/Bloomberg/Getty Images

旅客機にしてはおかしな話だが、A340はややパワー不足とされ、飛行速度が遅いと言われていた。

航空アナリストのリチャード・アブラフィア氏は、「(A340は)鳥に後ろから衝突される唯一の飛行機だった」と冗談を述べた。

「初代のA340は速度が遅い上に燃費が悪かった。またエンジンを4基搭載しているため機体が重く、維持費もかさんだ。機体を延長し、新しいエンジンを搭載した派生型も大した改善は見られず、それらが発売されるまでに、双発ジェット機がより少ないコストとメンテナンスで4発機と全く同じことができることが明らかになってしまった」(アブラフィア氏)

通常、ボーイング747のように貨物機バージョンがあると航空機の寿命は延びるが、A340には貨物機バージョンがないため、向こう10~20年以内に空から完全に姿を消す可能性が高い。

しかし、現時点ではA340にもまだ余命がある。それどころか世界で最も到達が困難な場所の一つである南極大陸まで飛行している。チャーター専門会社のハイフライ航空は、科学者とわずかな旅行者を乗せたA340―300で、南極へのフライトを運航している。

実際にA340が姿を消したら、多くの人が寂しがるだろう。

現在も運用中のA340は64機のみ/Nicolas Economou/NurPhoto/Getty Images
現在も運用中のA340は64機のみ/Nicolas Economou/NurPhoto/Getty Images

「A340はすべてのエアバス機の中で最も美しいと言っても過言ではない。A340の数がどんどん減っていくのは悲しい」と語るのは、ボーイング機を操縦する航空会社のパイロットで、人気の書籍・ブログ「Ask the Pilot(パイロットに聞け)」の著者でもあるパトリック・スミス氏だ。

スミス氏は「どの商用ジェット機も同じように見えてつまらない時代に、A340は常に他と一線を画してきた」と付け加えた。

今後A340の数が減るにつれて、同機はますます航空ファンのお気に入りになるだろう。

航空愛好家のブロガーで、これまでA340に50回以上搭乗したサム・チュイ氏は、「(A340は)見ていて興奮する飛行機だ。特に離陸する瞬間がたまらない」と、その魅力を語る。

「今やその姿をめったに見られないため、航空ファンにとってはさらに興味深い飛行機になっている。間違いなく双発機とは一味違う」(チュイ氏)

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