環境にやさしく乗り心地のいい航空機「ホライズン」 秘密はその革新的な形状
マチューシェフ氏は、BWBデザインの課題の一つは、安定性と制御だと主張する。
同氏は、安定性を確保する方法の一つとして、複雑な飛行制御システム、すなわちコンピューターの活用を挙げるが、ボーイング737MAXは、この制御システムの誤作動が原因で複数の墜落事故を起こしたと指摘する。
そしてもう一つの選択肢が空気力学、つまり機体表面のデザインで、ナティラスはこの方法を選択した、とマチューシェフ氏は語る。
この新しい形状には非常に重要な利点がある。
マチューシェフ氏は、「(この形状により)空気抵抗が30%減少するが、同時に機体の重量も減らせるため、同人数の乗客、同量の貨物の収容が可能だ。これこそがBWBならではの特徴だ」と述べ、さらに次のように続けた。「また小型機は、エンジンも小型なため、燃料消費量も少ない。この二つの要素を組み合わせることにより、1席あたりのCO2排出量を約50%削減できる」
また従来の円筒形の機体よりもはるかに大きな胴体は、機内レイアウトの刷新の可能性を開く。ホライズンの床面積は、従来の航空機よりも約3割広いため、多くの顧客は、ラウンジの復活など、乗客体験の向上を期待しているだろう、とマチューシェフ氏は言う。
しかし、ホライゾンのすべてが新しいわけではない。例えば、エンジンは既存のエンジン技術を使用しており、水素エンジンや電動エンジンという選択肢はない。
「航空業界にはよく言われる冗談がある。『新型機には決して新型エンジンを搭載するな。あまりに危険すぎる』というものだ」(マチューシェフ氏)
同じ理由で、ホライゾンはボーイング737やエアバスA320が収容可能な場所にちょうど収まるように設計されており、空港のインフラを変更する必要はない。