ローマに今年開業、豪華絢爛な「オリエント急行ホテル」を紹介
(CNN) かつて豪華客車に裕福な乗客を乗せて欧州各地を駆け巡っていたことで名高い「オリエント急行」のブランドが再び脚光を浴びている。今回はイタリアで鉄道の線路から飛び降り、高級ホテル業界に進出した。
「オリエント急行ラ・ミネルバ」は2025年春、ローマ中心部で開業予定。伝説的なオリエント急行ブランドの現代版としてオープンする最初のホテルとなる。これとは別にホテル1軒と、オリエント急行ブランドの船2隻も後に続く予定だ。
当初1620年に建設され、19世紀にホテルに改装されたラ・ミネルバは今回、ローマの豊かな歴史に光を当てる目的で修復される。オリエント急行本来の時代を超えた魅力を生かしつつ、「アールデコ様式」と「現代のエレガンス」を融合させるとうたっている。
オリエント急行ラ・ミネルバは豪華客室93部屋(36のスイートルームや屋上のバー兼レストラン1軒、トルコ式浴場を含む)を備え、洗練された観光客と地元ローマ市民の両方を顧客として想定する。料金は一泊1000ユーロ(約16万2700円)から。
世界有数のロケーション
ラ・ミネルバのロケーションゆえに、宿泊客はローマの美しい名所まで簡単に足を運べる/Patrick Locqueneux/Orient Express
ローマ中心部、パンテオン神殿の目と鼻の先に位置するラ・ミネルバは「息をのむパノラマ的な背景」(PR素材)を誇る。
屋上のバー兼レストランからは、サンティーボ・アッラ・サピエンツァやサン・ピエトロ大聖堂のドーム、アルターレ・デッラ・パトリア、クイリナーレ宮殿の塔を一望できる。
歴史あるミネルバ広場に位置する絶好のロケーションゆえに、スペイン広場やコロッセオ、人気の各種美術館、レストラン、ブティックなど、ローマの必見スポットまで徒歩で足を運ぶことも可能だ。
豪華客室
ラ・ミネルバの客室やスイートは古典的なイタリア建築と、洗練された現代風の特色を融合させている/Patrick Locqueneux/Orient Express
オリエント急行ホテル・イタリアの総支配人ジャンパオロ・オッタッツィ氏によると、フランス人とメキシコ人の両親に生まれた建築家兼デザイナーのユゴー・トロ氏はホテルというより私邸のような雰囲気を醸し出そうと、細部まで気を配ってホテルの企画を行った。
ラ・ミネルバの客室やスイートには例外なく、キングサイズのベッドや大理石の浴室、ウォークインシャワー、豪華なイタリア製リネンがあしらわれている。
一部のスイートは専用テラスも備えており、宿泊客はローマの眺望を独り占めできる。
高級食堂車と関連するブランドの期待を裏切らず、ラ・ミネルバでは屋上と優雅なロビーの2カ所に食堂やバーが配置される。
レガシーを樹立する
ラ・ミネルバのバスルームは大理石でつくられ、貝殻の形をしたシンクやウォークインシャワーをあしらっている/Patrick Locqueneux/Orient Express
ラ・ミネルバはオリエント急行ブランドの所有者が思い描く新たな1章の始まりに過ぎない。ホテルチェーンのアコーは2017年、フランス国鉄(SNCF)の株式を50%取得し、ブランド名の管理権を手に入れた。
25年には、ベネチアに2軒目のホテル「パラッツォ・ドナ・ジョバネッリ」をオープンする予定だ。
オリエント急行は海でも豪華旅行の体験を提供する方針で、「オリエント急行サイレンシーズ」のシリーズ2隻を進水させる。15年に1隻目の「ラ・ドルチェビータ」、26年には世界最大の帆走ヨット「コリンチアン」を進水させる考えだ。
オッタッツィ氏は「140年の歴史を持つブランドが復活しつつある。我々の責任は、これがさらに140年間続くような基準を打ち立てることだ」と語っている。
名高い列車の旅を体験するチャンスがなく寂しい、あるいは再体験したいという人のために、列車のオリエント急行も近く鉄道に戻ってくる。
26年半ばには、1920~30年代の往年のオリエント急行に乗車する機会が得られる見通し。食堂車やバーの車両は、柔らかい照明や大理石の柱を中心に親密感やエレガンスを醸し出すべく、慎重に再設計されている。