米無人偵察機で民間人の犠牲大 「重要攻撃目標」わずか2%
住民は昼夜を問わず、いつ自分が攻撃されるか分からないという恐怖の中で暮らし、粉々になった遺体や病院に搬送される負傷者を目の当たりにする日々を強いられている。ある住民は「以前はみんな幸せだった」「しかしあの偵察機の攻撃以来、たくさんの人が犠牲になり、家族を失った。その多くは心の病にかかっている」と証言した。
こうした実態を受けて報告書では、無人偵察機は民間人に与える犠牲があまりに大きく、ずさん過ぎて法的な疑問もあり、米国とって利益よりも実害の方が大きいと結論。「米政府や国民は、民間人が犠牲になっているという事実や、米国がパキスタンで行っている殺害と無人偵察機攻撃による逆効果を無視し続けることはできない」と述べている。
米政府に対しては、巻き添え被害に対する対策として、無人機攻撃の法的な正当性についての詳細を公表することをはじめ、民間人の犠牲者数を把握する仕組みの導入や、偵察機による死亡事件を独立した立場から捜査できる態勢の確立、関係者の訴追、犠牲者に対する補償などの措置を促した。
報告書は9カ月をかけてまとめられ、パキスタンで2度の現地調査を行って被害者や目撃者、専門家など130人以上から話を聞くとともに、大量の資料やメディア報道を検証した。
無人偵察機をめぐってオバマ大統領は先月のCNNのインタビューで、攻撃目標は「極めて厳格な基準」に基づいて決めていると弁明。ブレナン大統領補佐官(テロ対策担当)は4月に、誤って民間人が殺傷されることはあっても、それは「極めてまれ」なケースだと述べていた。