歴史・文化・NRA――なぜ米国では銃規制が議題に上らないのか
米国には建国のずっと前から銃が存在しており、幾つかの州では初期の入植者は集団での自衛のために武器の保有が法律で義務付けられていた。
合衆国の建国までには、先住民とだけではなく、自分たちの国王の軍(英国軍)と戦うためにも市民が武器を手にしていた。このため合衆国憲法は、規律ある民兵は自由な国家の安全に必要なため、国民が武器を保有・携帯する権利を侵せないと明記している。
2世紀以上の間、ほぼ見過ごされていたこの条項は、08年と10年に連邦最高裁が銃規制を違憲と判断したことで、憲法上の強力な権利となり、州政府や自治体による銃保有規制を大きく制約することとなった。
全米50州の約半分では、人目に触れる状態で銃を携帯することが多くの公共の場で許されている。ほぼ同数の州では、脅威にさらされた時には、場合によってはたとえ避難可能な状況下でも、武器を使って反撃し殺害することが認められている。
政治がこのような法律を生み出しており、政治は最有力ロビー団体の1つ「全米ライフル協会」(NRA)などが動かしている。米ワシントン・ポスト紙の推計では、2010年の連邦議会下院選挙で、NRAが支援した候補者の約80%が当選している。
NRAはさらに、法廷においても銃器規制法を覆すために行動している。