「それでも私は踊る」 ボストン爆破テロで足を失ったダンス教師
ひじをついた姿勢で地面をはうようにして、近くのレストランに入った。周囲を見上げて「助けてもらえますか」と頼んだが、人々はその姿に驚いて逃げていった。
アダムさんは空軍大尉としてアフガニスタンでの任務を終え、無事に帰国したばかりだった。爆発で両脚に無数の破片を浴びたが、必死にはってエイドリアンさんの後を追った。レストランで追いつくと、ベルトを外してエイドリアンさんの足に巻き、出血を止めようと精一杯の力を込めた。
2人は激しい痛みに襲われていた。エイドリアンさんは感覚をまひさせようと「だれか、ウイスキーかウオツカを」と叫んだという。
外は大変な騒ぎになっていた。犠牲者が多く、救急隊員はここまで来ないかもしれない。そう思ったエイドリアンさんは、死を覚悟してアダムさんに「愛している」と伝えた。
やがて助けはやって来た。2人は現場から2キロほどの病院へ運ばれる。手術室に入る時までエイドリアンさんは意識があり、左足の感覚も残っていたという。