米国の銃犯罪は「増加」? 発生件数激減も国民の意識とずれ
(CNN) 米国では銃が関係した殺人や犯罪の発生率が20年前と比べて大幅に減少しているにもかかわらず、増加していると考える人が半数以上という意識のずれが存在していることが9日までに分かった。米調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査で明らかになった。
ピューは過去50年間の銃犯罪の発生率を調査。これによれば、銃による殺人の発生率は1960~70年代を通じて増加し、80年代から90年代初めにかけて最も高かったが、その後急減したあとは横ばい状態が続いているという。
ピューが3月に行った世論調査では、20年前より銃犯罪が増えていると答えた人は56%に上り、減っていると答えた人は12%に過ぎなかった。変わらないとした人の割合は26%だった。
ピューの報告書は「銃による暴力に全米の関心が集まっているにもかかわらず、米国民の多くは銃犯罪が20年前に比べ減っていることに気づいていない」と指摘している。
今回の調査によれば、米国で銃による殺人事件の発生率が最も高かったのは1993年で、10万人に7件の割合だった。だが2010年の発生率は1993年と比べて49%減と半減。2011年の殺人には至らなかった銃による襲撃や強盗、性犯罪の発生率も1993年と比べ75%低下した。この傾向は殺人を含まない暴力犯罪全体の減少と軌を一にしている。
銃による殺人の発生率は2000年代後半に1960年代初頭以降で初めての低水準まで下がったという。ただし理由ははっきりしていない。報告書によれば「減少を説明できる仮説はいくつかあるものの、なぜそうなったかについては研究に携わったメンバーの間で一致した見解は得られなかった」という。
報告書によれば、減少したとはいえ、米国の殺人事件の発生率は先進国のなかでは高い水準にある。また、銃の所有率も他の先進国より高いという。