89歳のアウシュビッツ元守衛、戦犯容疑で拘束 米
(CNN) 米司法当局は20日までに、第2次世界大戦中にナチス・ドイツのアウシュビッツ強制収容所で警備を担当していたとされる89歳の男の身柄を拘束した。ドイツへの身柄引き渡しを決める審理は8月に開かれる。
ヨハン(ジョン)・ブライアー容疑者はナチス親衛隊(SS)の「どくろ部隊」の一員としてアウシュビッツ・ビルケナウ収容所などで任務に就いたとされる。
ドイツ当局は1944年5~10月にかけてハンガリーやドイツ、チェコスロバキアから連れて来られた21万6000人を超えるユダヤ人の殺害に関与したとして同容疑者を訴追している。
ブライアー容疑者は、収容者の迫害には関与していないと主張している。
CNNの系列局KYWによればブライアー容疑者の弁護士は法廷で、同容疑者は高齢で弱っていると主張。また、犯罪が起きてから長い年月が経っており、検察側の立証能力に疑問を呈した。
母親が米国籍をもっていたことからブライアー容疑者は1952年に米国に移住、自らの米国籍も認められた。近年はフィラデルフィア州で家族と一緒に暮らしていた。
90年代には、SSのメンバーだったことを理由に米国籍を剥奪されかけたこともある。このとき、同容疑者は米司法省に対し、ブーヘンワルト(ドイツ)の強制収容所で警備の任務についた後、アウシュビッツでの任務に移ったと認めたものの、収容所内での虐殺は知らなかったと述べたという。
だが2003年、米裁判所は当時17歳だったことを理由に、ブライアー容疑者がSSに加入したことの責任を問えないとの司法判断を下していた。