米司法省、携帯電話の監視技術に新たな使用規制
ワシントン(CNN) 米司法省は3日、批判の多い携帯電話を通じた当局の捜査手法について、新たなガイドラインを発表した。
問題の手法とは、基地局のふりをして携帯電話をだます「スティングレー」と呼ばれる装置を用いたもの。利用者に気づかれずスティングレー経由で通話や通信をさせることで、現在地や通話トラフィックといった情報を集めることが可能になる。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは昨年、米連邦捜査局(FBI)が国内上空でスティングレーを搭載した航空機を飛ばし、携帯電話情報を集めていると報道。これを受け、スティングレーは強い批判を集めてきた。
今回、発表されたガイドラインでは、事前に令状を取ることや、どのようなデータをどれくらいの期間にわたって収集するか、範囲を決めておくことがスティングレー使用の要件と定められている。
もっとも抜け穴もある。「緊急」または「例外的な」状況では令状なしの使用が認められているのだ。
イエーツ司法副長官は3日の記者会見で、スティングレーは捜査上欠かせないツールだと述べた上で、新しいガイドラインでは人権侵害への懸念に配慮し「正しいバランスを取るよう努力した」と胸を張った。
司法省によれば、スティングレーで収集される位置情報はGPSデータではなく携帯電話の電波の方向だけだという。また、通話相手の番号は分かるものの、通話やメールの中身、使われたアプリのデータは収集できないという。
司法省がスティングレーの活用成功例として挙げるのが、メキシコ最大級の麻薬組織、シナロア・カルテルの最高幹部ホアキン・グスマン受刑者の逮捕(2013年)だ。米当局がスティングレーを使って売人の携帯電話を追跡したことが、同受刑者の身柄拘束につながったという。