伝統よりも節約? 火葬を選ぶ米国人が過半数に
ジョーゲンセン氏によれば、ワシントンやネバダ、ハワイの各州で火葬率が高い背景には、無宗教であることや教育を受けた人の割合の高さ、短期滞在者の存在といった理由がある。
教育水準が高い人は火葬を選ぶ傾向にあるほか、短期滞在者はその地で埋葬されることを望まないという。
一方、火葬率が最も低いのはミシシッピ州で20.9%。アラバマ州が25.7%、ケンタッキー州が27.3%などでこれに続いている。
ケンプ氏は南部や南東部でいまだ火葬率が低い理由について、こうした地域では伝統の力が若干強いほか、墓地も恐らく他よりも少し安いと説明する。
火葬が普及しているのは、その習慣が古くから存在し、人口の大半がヒンズー教や仏教などを信仰している地域だ。例えば、日系米国人の多くは日本国内と同様、普通は火葬を選ぶ。
無宗教の米国人はそうでない人よりも火葬を検討する場合が多い。ただ同報告書によれば、宗教が葬儀の重要な一部を占めると考える米国人の割合は、2012年の半数近くから16年には40%以下まで減少した。
世論調査機関のピュー・リサーチ・センターによれば、米国最大の宗教集団はキリスト教徒で、国民の70.6%を占める。このうち21%近くがカトリック教徒であり、カトリックの多さも火葬への移行に影響を与えている。数世紀にわたり全身埋葬を主張してきたローマ・カトリック教会だが、1960年代に火葬禁止令を撤廃している。