トルコへの宗教指導者送還の計画、フリン氏役割に捜査のメス 米紙
ワシントン(CNN) 米紙ウォールストリート・ジャーナルは10日、フリン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)とその息子が1500万ドル(約17億円)の支払いの見返りに米国在住のイスラム教指導者ギュレン師をトルコに強制送還する計画に関与した疑惑について、マラー特別検察官が捜査を進めていると報じた。
ギュレン師は昨年のトルコでの軍事クーデター未遂に関与したとトルコ政府が目している人物。マラー特別検察官はロシアの米大統領選介入疑惑の捜査を指揮し、その一環でフリン氏も調査対象となっている。
同紙によれば、連邦捜査局(FBI)は、米ニューヨークにあるクラブで昨年12月中旬に開かれた会合に関連して少なくとも4人から事情聴取した。フリン氏とトルコ側の代表者らの間での話し合いは、このクラブで行われていたとみられているという。
同紙は、この件を証言した人物は12月の会合に参加しておらず、その詳細を直接知っているわけではないと報道。金銭のやり取りが行われたり、何らかの合意が結ばれたりしたことを示すものはないとしている。
会合では、ギュレン師の身柄をトルコの監獄島イムラリにプライベート機で移送する方法などが話し合われたとされる。トルコのエルドアン大統領は、ギュレン師が昨年のクーデター未遂の黒幕だったと主張している。
フリン氏の弁護士は10日、声明で同紙の記事内容を全面的に否定した。またWSJによると、フリン氏の息子の代理人はコメントを避けた。
CNNは今週、ギュレン師送還案に関する話し合いにフリン氏が参加していた疑惑をマラー氏の捜査チームが調べていると報道。また、息子が法的に処分される可能性についてフリン氏が懸念を表明しているとも報じた。複数の情報筋によると、フリン氏の息子も父親と同様、マラー氏の捜査対象になっている。
専門家によれば、外国資金の援助でギュレン師を拉致する計画は米国刑法に直接的に違反しており、有罪が立証された場合、最大で20年の量刑につながる可能性があるという。
今年3月には元中央情報局(CIA)長官のジェームズ・ウールジー氏がCNNに対し、昨年9月の会合で、フリン氏がトルコ政府の代理人と面会し、トルコ大統領の敵対者を訴追するために同国へ送還する方法について議論していたように見えたと語っていた。ウールジー氏はこの会合に遅れて出席したという。
フリン氏の広報担当は当時、これを否定した。
複数の情報筋によると、マラー特別検察官はこれとは別に、フリン氏が大統領選期間中、トルコ政府を代理して秘密裏にロビー活動を行っていた疑惑についても調べを進めている。司法省への無届けで外交政府を代理するロビー活動は違法行為となる。