米大学に危機感、留学生へのビザ発給が激減 移民政策影響か
ニューヨーク(CNNMoney) 米国の大学などで学ぶ外国人のための学生ビザ(F1ビザ)の発給件数が最近、大幅に減少している。トランプ政権による強硬な移民政策の影響という見方もあり、大学側に危機感が広まっている。
米国務省がこのほど発表した統計によると、昨年9月末までの2017会計年度に米政府が発給したF1ビザは39万3573件。16年度の47万1728件から17%も減少した。
F1ビザの中でも特に多数を占める中国とインドなど、アジア諸国での減少が目立っている。
オクラホマ州のタルサ大学では、外国人学生が全体の2割近くを占めてきた。入学事務などを担当するアール・ジョンソン氏によると、留学生の減少が大学の財政基盤を脅かし始めたため、中国に勧誘担当者を配置するなどの対策に乗り出している。
ジョンソン氏は、トランプ氏の「米国第一」主義が外国人学生に大きな不安を抱かせていると指摘。また大学の学費が過去10年間で平均40%も上がったため、これが負担になっているとの見方も示した。
米国の非営利組織(NPO)、国際教育研究所(IIE)のアラン・グッドマン所長によると、米国はかつて全世界の留学生の半数近くを受け入れていたが、現在では約24%まで減っている。
学費の問題に加え、専門職の外国人が米国で就労するためのH1Bビザ制度が厳格化されるなど、卒業後の就職が難しくなっていることも要因の一つ。留学生の就職制限を緩和しているカナダ、ドイツ、オーストラリアなどを選ぶ学生が増えている。
ただし最近の件数減少には、中国人学生へのF1ビザの有効期限が14年以降、1年から5年に延長され、更新回数が減ったことも影響しているようだ。