実験に使った子猫の安楽死やめて、超党派で法案提出 米議会
ワシントン(CNN) 米農務省が実験用に子猫を育てて寄生虫に感染させ、実験が終わると安楽死させている実態が明らかになり、米民主党の上院議員と共和党の下院議員が連携して19日、これをやめさせるための法案を提出した。
民主党のジェフ・マークリー議員は農務省の実験について、「年間で最大100匹もの子猫を育て、別の実験に使う寄生虫の卵を採取する目的で寄生虫に感染させた肉を与え、実験後に殺している」と指摘。これをやめさせる目的で、「KITTEN(Kittens in Traumatic Testing Ends Now)」法を上院に提出したことを明らかにした。
この実験を行っている農務省農業研究所は今年5月の時点で、蔓延(まんえん)する寄生虫に対抗するための研究に猫は欠かせないと説明し、「使用する猫の数を減らすために最大限の努力をしている」と強調、100匹という推計は過剰すぎると話していた。
実験の目的はトキソプラズマ症の感染を減らすことにあり、実験に使った猫は、飼い主に深刻な感染の危険が及ぶ恐れがあることから里親探しはしていないという。
動物実験に反対している団体によると、問題の実験は首都ワシントンに近いメリーランド州ベルツビルにある農務省の研究施設で行われている。
下院では共和党のマイク・ビショップ議員が法案を提出し、これまでに共和・民主両党の議員を含む61人が支持を表明した。ビショップ氏は先月行われた選挙で再選を果たせなかった。
マークリー議員は、年明けに召集される議会では上院でも超党派の支持を獲得したい意向。同議員は獣医師から聞いた話として、実験に使った猫は安楽死させなくても、寄生虫の治療を受けさせた上で里親に引き取ってもらうことは可能だと話している。