米FDA、若者の血漿注入する「治療」に警告
(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は19日、アンチエイジングなどの効果をうたって若者から提供された血漿(けっしょう)を注入する療法について、臨床効果は実証されておらず、危険を伴う恐れもあるとして、こうした療法を受けないよう消費者に強く勧告した。
血漿は血液に含まれる液体成分で、血液凝固を助けるたんぱく質などが含まれる。
血漿注入は、老化や物忘れのほか、認知症や多発性硬化症、心疾患、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などさまざまな症状に効く療法として宣伝されている。
しかしFDAによると、若者の血漿を注入することによってそうした症状の緩和や治療、予防ができるという臨床効果は実証されていない。さらに、血漿製品の使用は危険を伴う恐れもあると述べ、「そうした製品の使用が安全あるいは効果的だと思ってはいけない」と強調した。
FDAによると、若者から提供された血液を使う血漿注入療法や、似たような療法を行うクリニックは増加傾向にある。
例えばカリフォルニア州モンテレーに本社のある「アムブロシア」のウェブサイトでは、血漿注入を「治療」と位置付け、16~25歳の若者から提供された血漿を静脈注射で注入する措置と説明。同社はロサンゼルスなど米国内複数の拠点で30歳以上の患者を対象にこの療法を行っているといい、料金は血漿1リットルで8000ドル(約90万円)、2リットルで1万2000ドル。
米政府の臨床実験情報サイトには、アムブロシアがスポンサーとなって実施した若者の血漿注入の臨床実験に関する情報が掲載されている。
しかしFDAではこの臨床実験に関する安全性の検証は行っていないと説明。血漿注入は有害なだけでなく、重い病気や難病に苦しむ患者が安全で効果的な治療を受ける意欲を喪失させかねないと警告している。