身寄り少ない乱射犠牲者の葬儀、面識ない700人が参列 米テキサス州
(CNN) 米テキサス州エルパソの銃乱射事件で犠牲となった女性の葬儀が16日に執り行われ、故人と面識のない700人が参列した。
マージー・レカード(享年63)さんは今月、エルパソの大型小売店で起きた乱射で死亡した。残された親族はわずかで、エルパソ在住の人はいなかった。夫のアントニオ・バスコさんは他に家族がおらず、葬儀には誰も招待しなかった。
しかし葬儀が行われた16日夕、エルパソの会場前には数百人が列を作り、施設内に入っていった。主催者によると、38度近い猛暑にもかかわらず一時は700人が屋外で待っていたという。
数百の花がマージー・レカードさんの葬儀に届いた/CNN
葬儀会場の最大収容人数は400人。会場関係者は「集まった人たちを受け入れるのに全力を尽くす」と語った。
バスコさんが葬儀に到着すると一斉に拍手が上がり、人々から抱擁を受けた。バスコさんは教会の正面で妻のひつぎの傍らに立ち、約2時間にわたり参列者から抱擁を受けたり、優しい言葉をかけられたりした。
日本やニュージーランドといった遠隔地からも面識のない人が花束を寄せ、教会前や祭壇の正面に並んだ。葬儀費用の支払いを助けようと1000人近くがクラウドファンディングサイトに寄付し、2万5000ドル(約265万円)以上が集まった。
銃撃現場近くに設置された追悼の献花の前で涙する夫のアントニオ・バスコさん/John Locher/AP
葬儀場の共同経営者によると、これまでに400束以上の花束が寄せられている。地元の花屋は、ニューヨークやミシガン州から注文を受けて50束以上を配達したと説明。このうち1束はサンディフック小学校乱射事件の遺族が手配したものだという。
地元の花屋はCNNの取材に、「30年あまり商売を営んでいるが、これほど美しく盛大な思いが寄せられたのは見たことがない」と語った。