新型ウイルス患者の診察にロボットを使用 米国
(CNN) 米国で最初に新型コロナウイルスへの感染を診断された男性が、主にロボットを使った診察を受けていることが分かった。
ワシントン州エバレットにあるプロビデンス地域医療センターの感染症部門責任者、ジョージ・ディアス医師によると、このロボットは聴診器や大型スクリーンを搭載し、医師によるバイタルサインの測定や男性とのコミュニケーションを助けているという。
ディアス氏は「看護職員がロボットを動かすことで、我々がスクリーン越しに患者を観察し、話しかけられるようになっている」と説明。ロボットの使用で感染者との接触が最小限に抑えられていると語る。
30代の男性は20日に新型ウイルスへの感染が確認された。19日に最初に別の外来診療施設を受診した際、中国の武漢に最近渡航したため、新型コロナウイルスの症状が出ていないか心配だとスタッフに訴えたという。武漢は新型ウイルスの感染拡大の中心地。
米疾病対策センター(CDC)によると、男性は15日にシアトル・タコマ国際空港に到着したが、この時点ではまだ国内の空港で健康検査が始まっていなかった。
男性は隔離状態を保つ担架で運ばれた/CNN
男性は「アイソポッド」と呼ばれる隔離状態を保てる特別な担架に乗せられ同医療センターに到着。院内の人の多い場所からは遠ざけられ、ベッド2床を備えた隔離区画で治療を受けている。
ディアス氏によると、23日の時点で男性の容体は安定しており、隔離が続いているという。
州の衛生当局者は23日、これまでに43人がこの男性と密接な接触をしたとみられると発表。接触者とは毎日連絡を取り、病気のサインがないかをチェックしていると述べた。密接な接触とは、感染力のある感染者とやり取りをし3~6フィート(約90~180センチ)以内の距離に長時間いた場合や、感染者の分泌物に直接触れた場合が該当する。
退院の時期については、CDCが追加検査を勧告しているため未定。CDCはウイルスが引き続き存在しないか、他人への感染力がないかの確認を進め、退院に関する詳細な条件を発表する予定となっている。
同医療センターでは約2週間前に、感染力の強い中東呼吸器症候群(MERS)やエボラ出血熱の患者を念頭に診察手順を確認するテストが行われたばかりだった。手順はエボラ出血熱の流行後に改定され、「他の誰にもウイルスを感染させずに感染症の患者を診察できる手順を定めた」(ディアス氏)という。
中国では新型ウイルスにより41人が死亡、1072人の感染が確認されている。