米軍、新型核兵器を実戦配備 ロシアの脅威に対抗
ワシントン(CNN) 米国防総省は4日、海軍が潜水艦発射型の小型核兵器を実戦配備したと発表した。ロシアの小型戦術核の脅威に対抗する措置と位置付けている。
これに対して複数の元高官からは、核衝突の可能性を増大させかねないと危惧する声も出ている。
米国防総省のジョン・ルード政務次官の発表によると、実戦配備された小型の潜水艦発射型弾道ミサイル弾頭「W76―2」は、これまでの「W76」弾頭を改造した新型の核兵器。潜水艦から発射するミサイル「トライデントII(D5)」に搭載されることから、米国が保有する核兵器の総数が増えることにはならない。
米当局者によると、核ミサイル発射コードや、大統領が持ついわゆる「核のフットボール」の内容は、今回の新型兵器を反映して改訂された。
新型の弾頭は、米国にとって数十年ぶりの新型核兵器として、昨年2月に初めて製造された。
小型核兵器の配備は、トランプ政権が2018年に発表した「核体制の見直し」(NPR)の中で提言した。NPRでは、米国の核兵器の方が不相応に破壊的だという理由で、敵国が米国からの核の報復を恐れることなく、米国に対して小型核兵器を使用できると考えるかもしれないと指摘していた。
ルード政務次官は4日の声明の中で、「ロシアのような潜在敵国が、小型核兵器の配備によって米国やその同盟国より優位に立てると確信していると指摘されたことに対応する」と説明。「米国はいかなる脅威にも確実かつ断固として対応でき、潜在敵国に対して限定的な核配備が無意味であることを見せつける」と強調している。