消毒液注射や日光照射 トランプ氏の「治療法」発言の舞台裏は
ワシントン(CNN) トランプ米大統領はホワイトハウスでの記者会見で、新型コロナウイルス感染症患者への日光照射や消毒液注射という科学的根拠のない「治療法」に言及して大きな波紋を呼んだ。トランプ氏がこのような発言に至った背景には何があったのか。
23日に開かれた新型ウイルス対策に関する定例会見では、まず国土安全保障省のブライアン次官代行が、太陽光に含まれる紫外線や漂白剤などの消毒薬により、ウイルス減少が加速するとの研究結果を説明。これに続いて檀上に立ったトランプ氏が、患者の体内に日光を照射したり消毒液を注射したりするのはどうだと提案した。
その発言が物議を醸し、ホワイトハウスは24日にかけて対応に追われた。
マケナニー報道官はメディアが前後関係を無視して発言を取り上げたと反論し、トランプ氏自身は記者らに対する皮肉のつもりだったと主張。新型ウイルス対策チームのバークス調整官はFOXニュースとのインタビューで、トランプ氏は会見直前に見た新情報を整理する時間がなかったと説明した。
保健当局者らは国民に向けて、漂白剤を飲むのは危険だと警告した。
ブライアン氏はこの研究結果を、22日の新型コロナウイルスの対策会議で紹介していた。対策会議はホワイトハウス地下にある危機管理室で毎日、会見の前に開かれるが、トランプ氏は欠席することが多く、この日も参加していなかった。
ブライアン氏は23日の会見に先立ち、大統領執務室でトランプ氏にこの研究を手早く説明した。
関係者らによればトランプ氏は強い関心を示し、ブライアン氏に同日の記者会見で披露するよう指示した。しかしトランプ氏自身がカメラの前で注射などの治療法を提案するとは、だれも予想していなかったという。