「大統領が暴力行使を命令」、デモ隊の強制排除めぐり人権団体が提訴
ワシントン(CNN) 米国のトランプ大統領が首都ワシントンで教会を訪れた際に、武力を使って平和的な抗議集会を解散させたとして、米自由人権協会(ACLU)などが4日、大統領やバー司法長官らを相手取ってコロンビア地区連邦地裁に訴訟を起こした。
原告側は、政権が警察に指示して正当な根拠なく平和的な集会を破壊させたと主張している。
当時ワシントンでは、黒人男性ジョージ・フロイドさんの死に抗議する集会が開かれていた。原告側は、「黒人を標的とする警察の差別的な残虐行為に対して平和的に抗議していた人たちに対し、米国の大統領と司法長官が暴力の行使を命じた」と訴えている。
トランプ大統領は1日夕、平和的な抗議集会が当局によって強制排除された後に、徒歩でホワイトハウス近くの教会を訪れていた。この対応については、マティス前国防長官を含む政治家や公人からも非難の声が上がっていた。
警察が集まった人たちを解散させようとした際に、投げ込まれた容器から濃い煙が噴出し、人々がのどを詰まらせたり咳(せき)込んだりしていたという報道や目撃証言もある。
バー司法長官は4日の記者会見でこの経緯について、集会を解散させたのは暴徒化する兆候があったためだと説明し、トランプ大統領の教会での写真撮影とは無関係だと強調した。
訴訟にはACLUや市民団体のほか、1日の抗議集会に参加していたワシントンやメリーランド州の住民も原告として加わった。負傷者に対する損害賠償も求めている。