余命数週間の父親、息子のアメフトを最後に観戦 看護師が航空機手配
(CNN) 米ケンタッキー州でこのほど、末期がんで余命数週間と宣告された男性に息子の高校アメフトシーズン初戦を観戦してもらうため、担当の看護師が航空機を手配する出来事があった。
同州サマセットに住むスコット・サリバンさんは8月上旬、検査で異常が確認されたことを受けて入院し、まれながんと診断された。正式な病名は髄膜癌腫(がんしゅ)症で、脳とせき髄を囲む膜が冒されるがんの合併症を指す。
50歳のサリバンさんは医師から余命数週間と宣告され、退院して在宅ホスピス生活に入った。
自宅で闘病生活を続けるサリバンさんにとって、唯一の望みは高校2年生になる息子のアメフトシーズン初戦を観戦することだった。そこでそれが可能かどうか、ホスピスの看護師に尋ねてみた。
看護師らの計らいで試合会場に航空機で向かえることになり、笑顔を見せる/Hospice of Lake Cumberland/Facebook
サリバンさんと看護師には学校でスポーツに励む同年代の子どもがいたため、すぐに友情が芽生えた。ただ、シーズン初戦は車で3時間半離れた会場で行われるアウェーゲーム。ホスピスの患者には厳しい距離だった。
だが、そこで看護師が解決策を思い付く。近隣の空港に連絡を取ったところ、数日以内に地元の歯科医から、個人航空機でサリバンさんを会場に送り届けたいとの申し出があった。
この知らせにサリバンさんは感極まった。「言葉では言い表せないような気持ちだった」
丘の上に腰を下ろし、息子の試合を観戦/Courtesy Jerree Humphrey
9月11日、サリバンさんらは試合会場に向かう航空機に乗り込んだ。スタンドで観戦する代わりに、慎重を期して他の観客から離れた丘に腰を下ろした。
息子はサリバンさんの姿を目にすると、丘を駆け上ってきて父親を力一杯ハグした。魔法のような瞬間だったとサリバンさんは振り返る。自分が死んだ後も、息子はこの時の記憶をいつでも思い出すことができるから。