「黒人サンタ」の飾りに差別的な匿名書簡 米南部の住宅地
(CNN) 米南部アーカンソー州ノースリトルロック市の住宅地で自宅前に黒人のサンタクロース人形を飾った一家のもとへ、人種差別的な匿名の書簡が届いた。近隣では一家への応援を込めて、黒人サンタを飾る動きが広まっている。
クリス・ケネディさんと妻子は3年前にここへ引っ越してきてから、毎年この時期に高さ2メートルあまりの黒人サンタの人形とクリスマスツリー、大きな「JOY」の電飾文字を飾ってきた。
ところが今年はこの飾り付けをめぐり、26日の米感謝祭直前に「サンタクロース」を名乗る書簡が届いた。「子どもたちにサンタはニグロ(黒人)だと思い込ませようとしてはいけない」「おまえが私の人種をねたんでいるからといって、うそをつく言い訳にはならない」などと書かれていた。
ケネディさんはフェイスブック上のライブ配信で、怒りをこらえながら書簡を読み上げた。この町を出て黒人の住む地区へ行けとも書かれていたという。
ケネディさんはまた、白人のサンタが両手の親指を下に向ける否定的なポーズを取った画像と、封筒の表に張ってあったマークも公開した。持ち家世帯の自治会組織のマークに似ていたが、同組織の責任者は関与を否定し、一家への支援を表明した。
市内のほかの地区からも、同じような差別の経験談が寄せられた。同市では黒人が人口の半数近くを占める。差別行動の裏には政治的動機もあるのではないかと、ケネディさんは指摘する。
ケネディさん宅の通りに並ぶ家はそろって庭に黒人サンタの人形を置き、自治会も事務所に飾る黒人サンタを注文した。ケネディさんは同じような差別と闘う全ての人々に向けて、「それでも世間には愛情あふれる優しい人たちがいる」と呼び掛けた。