米感謝祭の移動で感染者の激増懸念、「全50州で同時に自然災害」状態
(CNN) 米国内で29日に確認された新型コロナウイルスの新規の症例数が、ジョンズ・ホプキンス大学の統計で10万9671例となり、27日連続で10万人を超えた。29日に報告された死者数は731人だった。
感謝祭の連休中に数百万人が移動した影響で感染者の急増が危惧されており、ただでさえ限界に近付いている病院が逼迫(ひっぱく)状態に陥る可能性もある。COVIDトラッキング・プロジェクトによれば、29日の入院患者数は9万3238人に達し、前日を上回って過去最多を更新した。
「全50州で同時に自然災害が起きているような状況だ。十分なベッドもなければスタッフも足りない。国家的な備えが欠如しているために、まだ供給も不十分だ」。ブラウン大学の専門家で救急医のミーガン・レニー氏はそう指摘した。
同氏によると、ロードアイランド州では病院が新型コロナウイルスの患者で満床状態にあることから、12月1日に仮設病院を開設する計画だという。しかし全ての州にその選択肢があるわけではないと同氏は述べ、「たとえ仮設病院を設置したとしても、体調を崩したスタッフが何百人もいたり、看護師や医師や呼吸器技師がいなかったりすれば、仮設病院であっても患者を救うことはできない。我々の医療態勢は今現在、新型コロナウイルスのために文字通り限界点にある」と危機感を募らせる。
米疾病対策センター(CDC)は国民に対して感謝祭の移動を控えるよう呼びかけていたが、29日に空の便を利用する旅行者は、新型コロナウイルスの流行が始まって以来、最多になると予想されていた。
感謝祭を控えてCDCが自粛を促した後に、米国内の空港の保安検査場を通過した乗客は約600万人に上る。
ただ、感謝祭の集まりや移動が新規の入院患者数や死者数にどう影響するかは、数週間たってみないと分からない。
感謝祭の影響による感染者の増加は3週間以内に顕在化するとレニー氏は予想、クリスマスから新年にかけては全米で死者が増えると予想している。