バイデン氏が安保会議で演説、米欧間の絆確認 トランプ氏からの決別図る
(CNN) バイデン米大統領は19日、ミュンヘン安全保障会議で演説し、米国の世界のリーダーとしての役割や同盟の力、米国内外における民主主義の底力を改めて確認した。「米国ファースト」を掲げたトランプ前大統領の政策からの決別を図る内容となった。
バイデン氏は2年前にミュンヘン安保会議で演説した際、会場のホテルに詰めかけた聴衆に向けて政権交代後の転換を約束。トランプ大統領(当時)の下で米国が孤立主義にかじを切ったことを嘆きつつ、「この状況はいずれ過ぎ去る」「われわれは戻ってくる」と語っていた。
バイデン氏はこの日、その約束を果たした形となった。バーチャル開催となった会議で「私は約束を守る男だ」と述べ、「米国は戻ってきた」と宣言した。
トランプ氏とは対照的に、バイデン氏はサイバー空間におけるロシアの安定を損なう行動を非難。同国のプーチン大統領が欧州を不安定化させようとしていると批判した。
また、トランプ氏が要求したドイツ駐留米軍の撤収を停止すると発表し、欧州の防衛強化にとって極めて重要な決定と位置づけた。北大西洋条約機構(NATO)やNATO条約第5条が定める集団防衛への支援も表明した。
米欧関係はトランプ政権下の激動の中でぎくしゃくした場面が目立ち、絆が著しく損なわれた。バイデン氏と欧州側は仕切り直しを図った形だが、早期に関係を修復できるかは依然見通せない。欧州の指導者は1月6日に起きた米議事堂襲撃事件を警戒とともに受け止め、米国に広がる分断がすぐには消えないことの証しと見なしている。