全米でアジア系に対する暴力多発、NYで抗議集会
ニューヨーク市(CNN) 米全土でアジア系米国人に対する暴行事件が相次ぐ中、ニューヨーク市内で2月27日、アジア系住民を狙ったヘイトクライム(憎悪犯罪)に抗議する集会が開かれた。
集会で発言したフィリピン系米国人のノエル・キンタナさん(61)は、2月3日に地下鉄の車内で顔面を切りつけられる被害に遭ったといい、「私の周りにはたくさんのニューヨーカーがいたのに、誰も助けてくれなかった」と訴える。
ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は参加者に向けて「アジア系に対する憎悪を止めよう! 今すぐ止めよう」と呼びかけた。
集会はアジア系米国人に対する暴力の増加に抗議する目的で行われた/Bruce Cotler/Zuma
ニューヨーク市内では25日にアジア系米国人の男性(36)が刃物で刺される事件も発生。チャック・シューマー上院議員(民主党)は、新型コロナウイルスの流行が始まった頃からアジア系に対する暴力が急増する兆しがあったと述べ、「アジア系米国人はニューヨークや米全で人種に根差す差別や嫌がらせの標的にされている」と指摘した。
CNNの取材に応じた参加者の女性は、外出するときは身構えるようになったと告白し、「もう歩きながら音楽は聴かないようにしている」と打ち明けた。「前政権の発言が憎しみをかき立てた。カンフーウイルスとかチャイナウイルスと呼んで。そして悲しいことに、私たちが格好の標的にされている」
抗議集会を主催したアジア系米国人連合(AAF)の集計によると、暴言を吐かれたり暴行されたり、咳(せき)や唾(つば)を吐きかけられたり、のけ者にされたりといった偏見やヘイトクライムの被害は2020年の1年間で500件近く報告された。それでもほとんどは報告されないまま終わるため、この数字は氷山の一角にすぎないとAAFは見ている。