ロシアが昨年の大統領選に介入、バイデン氏を「中傷」 米諜報機関報告書
ワシントン(CNN) 米国家情報長官室(ODNI)は16日、2020年に行われた米大統領選でロシア政府が介入を試み、民主党候補だったジョー・バイデン氏を「中傷」する一方、ドナルド・トランプ大統領(当時)を「支援」したとの報告書を発表した。
米諜報(ちょうほう)機関によれば、ロシアの目標はバイデン氏を中傷し、トランプ氏の再選を支援することに限らず、選挙のプロセスに対する公共の信頼を傷つけ、米国の社会政治的な分断を深めようとしていたという。
ODNIが公開した報告書は、2020年の大統領選に対する外国勢力の脅威に関するこれまでで最も包括的な分析となった。ロシアやイランといった敵対国による広範囲な活動の詳細に触れており、そうした国々は、民主的なプロセスに対する信頼感を傷つけることを模索していたほか、特定の大統領候補者を標的としていた。
今回の報告書では、昨年も広く推測されていたことが確認された。トランプ氏やトランプ氏の側近が、バイデン氏に対するロシアの誤った情報を公の場で採用することがあった。また、こうした取り組みの一環として、ロシア大統領府とつながりのある人物がトランプ氏の周囲の人間に接触したほか、陰謀論を拡散させた。
報告書によれば、トランプ氏の影響力低下を狙って最も積極的に動いたのはイランだった。しかし、イランはバイデン氏の当選に向けては積極的には動かず、イランの動きはロシアに比べれば少ないものだった。
報告書は、複数の外国の敵対勢力が大統領選への介入を試みたと結論付けたが、有権者登録や投票、集計、投票結果の報告を含む2020年の選挙戦における投票プロセスのあらゆる技術的側面が外国勢力の試みによってゆがめられたことを示すものはないともした。
こうした結論は国土安全保障省傘下のサイバー・インフラ安全局(CISA)の大統領選後の見方とも一致する。CISAは当時、米国人の投票を阻止したり、投票結果を変更したりする能力を持つ外国勢力の証拠はないとしていた。
国務省当局者によれば、ロシアによる大統領選介入に関連して、バイデン政権は翌週にも制裁措置を発表する見通し。