武漢研究所につながる資金も対象か、米厚生省がNIH助成金を調査へ
ファウチ氏は今年の議会証言で、NIHがエコヘルス・アライアンスに拠出した資金について、数十万ドルが武漢研究所のコウモリコロナウイルス研究に充てられたことを確認した。これを受け、NIHとエコヘルス・アライアンスの関係に疑問を投げかける声が強まっている。
ファウチ氏を巡っては、CNNを含む報道機関が先ごろファウチ氏がやりとりしたメールを報道。エコヘルス・アライアンスの幹部が昨年4月にファウチ氏に宛てたメールには、科学的な証拠からはコロナの自然起源が支持され、研究所由来は支持されないとファウチ氏が公言してくれたことに謝意を示す内容があった。
ファウチ氏はこのメールは誤解されており、同氏が武漢研究所の関係者と癒着しているとの主張を「ばかげている」と批判。コロナの起源については、動物から人間への感染が最も可能性が高いとの見方を示しつつも、他の発生源の可能性についても排除せず、研究所から漏れた可能性もありうるとの見解を示していた。
米情報機関の最近の報告書では、武漢ウイルス学研究所の研究者数人が2019年11月に体調不良を訴え、入院していたことが判明。体調不良の要因は不明で、研究者らが新型コロナウイルスに感染したことを示す情報はない。同研究所は報告書の内容を強く否定し、いわゆる「研究所流出説」を押し出す目的のうそと反発している。
新型コロナウイルスの世界的流行がどのように始まったのかについては諸説ある。第一に、自然界で発生したウイルスが動物から人間にうつったとの説。第二に、こうした自然由来のウイルスが実験室で研究され、誤って誰かに感染したとの説。第三の説として、研究者の大半は疑問視しているものの、実験室で人工合成されたウイルスが何らかの形で漏えいしたとの説もある。