ドミニオン、ニュースマックスとOANを提訴 自社に対し「うその連発」
ニューヨーク(CNN Business) 昨年の米大統領選で使われた投票集計機のメーカー、ドミニオン・ボーティング・システムズは10日、右派系のテレビ局2社に対して訴訟を起こした。ドミニオンはトランプ前大統領とその同調者らによる偽情報の標的にされたが、当該のテレビ局が根拠のない陰謀論の拡散を助けたと主張している。
ドミニオンが訴えたのはニュースマックスとワン・アメリカ・ニュース(OAN)の2社。後者に対する訴訟では番組のパーソナリティーや局のオーナーといった個人にも言及している。
ドミニオンのジョン・プーロス最高経営責任者(CEO)は声明で、これらのテレビ局について「真実を無視し、昨年11月に虚偽を広めた」「現在も広め続けている」と述べた。
2020年の大統領選の直後、当時のトランプ大統領は選挙が自身に不利になるように操作されたとの誤った主張を展開。トランプ氏に同調するメディアはドミニオンに関するとっぴな陰謀論を広め、同氏の虚偽の主張を支持した。
訴状ではニュースマックスについて「ドミニオンを中傷することで完全なブランドを作り上げた」と指摘。OANに対しては「事実を意に介さず」、念頭にあったのは視聴者に別の現実を吹き込むことだったと批判した。
ドミニオンは両社にそれぞれ少なくとも16億ドル(約1770億円)の支払いを求めている。自社に対して広められた「うその連発」で、「会社と顧客、従業員が重大な損害を被った」とプーロスCEOは強調した。
ニュースマックスは声明で、まだ訴状を精査していないとしつつ、「2020年大統領選の番組で、ニュースマックスは著名な公人の主張を伝えただけだ。そこには大統領やその顧問、連邦議会の議員らが含まれる」と述べた。
そのうえで「ドミニオンの今日の行動は、明らかにそうした報道を抑え込もうとするものだ。報道の自由を阻害している」と付け加えた。
OANのチャールズ・へリング社長にコメントを求めたが、現時点で回答はない。
ドミニオンは右派系のFOXニュースや、トランプ氏の側近だった弁護士のルディ・ジュリアーニ、シドニー・パウエル両氏などに対しても訴訟を起こしている。