米軍制服組ナンバー2、中国軍の進歩は「驚異的」 米国は官僚主義が妨げ
(CNN) 米軍制服組ナンバー2のハイテン統合参謀本部副議長は28日、中国軍の増強ペースは「驚異的」だと指摘する一方、米軍の発展は行き過ぎた官僚主義に妨げられているとの認識を示した。中国は先日、極超音速ミサイルの実験を実施したと報じられている。
ハイテン氏は近く退任予定。中国を「刻々と深刻化する脅威」と呼ぶオースティン国防長官と同様の認識を示す一方、最も差し迫った脅威はロシアだとも述べた。
ハイテン氏は記者団に対し、「中国を『刻々と深刻化する驚異』と呼ぶのは有用な言い方だ。中国のペースは驚異的だからだ」と述べ、「我々がそれを変えるために何かしなければ、中国のペースと軌道はロシアと米国を追い抜くだろう」との見方を示した。
ハイテン氏はまた、これは米国だけでなく米国と同盟国の問題だと説明。「米国だけなら5年で問題に直面するが、米国と同盟国が協力すればしばらくの間は大丈夫だと思う」と指摘した。
米国は1週間前に極超音速兵器の実験に失敗したほか、台湾問題をめぐる中国との緊張は依然高いままだ。ハイテン氏の直属の上司に当たるミリー統合参謀本部議長は、中国が最近実施したと報じられる極超音速実験について、旧ソ連が米国に先駆けて人工衛星打ち上げに成功して衝撃を与えた「スプートニク・モーメント」に非常に近いと懸念を示している。
ただ、中国外務省の趙立堅報道官は極超音速実験に関する英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道について聞かれ、8月の実験は「ミサイルではなく宇宙船」だとしている。
ハイテン氏は来月退任する予定で、今回の発言は統合参謀本部副議長として最後のものになる可能性が高い。以前には米戦略軍司令官として、核備蓄の統括や米国への戦略的脅威の監視に当たったこともある。
「我々はわずかながら進歩しているが、国防総省は信じられないくらい官僚的で遅い」とハイテン氏は述べ、「望めば早く動くことも可能だが、我々の官僚主義は行き過ぎだ」と警鐘を鳴らしている。