トランプ氏一族企業の過去10年分近い財務諸表「信頼できず」 会計事務所が表明
ニューヨーク(CNN) トランプ前米大統領の一族が経営するトランプ・オーガニゼーションの会計事務所で、トランプ氏が長年雇ってきたメイザーズが先週、トランプ・オーガニゼーションに対して、過去10年分近くの財務諸表を信頼すべきでないと伝え、利益相反を理由に同社との会計業務を打ち切っていたことがわかった。
メイザーズはトランプ・オーガニゼーションの最高法務責任者に宛てた手紙で「ニューヨーク州司法長官による2022年1月18日の提出、当社の内部調査、内外のソースからの情報などからこの結論に至った」と述べ、11年6月~20年6月の財務諸表を信頼しないように助言した。
メイザーズは「様々な財務諸表が全体として重大な不一致を含んでいると結論付けたわけではないが、全体的な状況から、こうした財務諸表が適切だとこれ以上信頼すべきではないというのが我々の助言だ」とも述べた。財務諸表の提出先である資金の貸し手や保険会社にもこれを通知するように進言した。
この手紙はニューヨーク州司法長官事務所が裁判所に提出した書類に含まれていた。同事務所はトランプ氏の文書提出や証言、息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏、娘のイバンカ・トランプ氏の証言も求めている。17日には裁判所で審問が開かれる。
トランプ・オーガニゼーションの広報担当は14日、メイザーズが同社から離れたことは残念としつつ、その9日付の手紙は「メイザーズの仕事がすべての適用可能な会計の基準や原則に従って行われ、こうした財務状況の報告が重大な不一致を含まないことを確認するものだ」と述べ、「検察や司法長官による調査の価値を失わせる」とした。
メイザーズはCNNのコメント要請に返答していない。
ある弁護士は、メイザーズは以前財務諸表に署名した時から警告を発していて、最近は不正確だと主張することで自分たちを守ろうとしているのだろうとの見解を示した。
ニューヨーク州司法長官とマンハッタン地区検察は、財務諸表の正確性を調べ、保険会社や資金の貸し手に誤解を与えていなかったか確認を進めている。トランプ氏は以前、民事裁判での証言で、一定の資産の価値に関する意見を伝えたことはあるが、最終的には主に最高財務責任者が金額を決めていたと述べていた。
メイザーズは声明の冒頭部分で、トランプ氏が資産評価の責任者であり、その評価は多くの点で会計ルールに従っていないと述べた。
州司法長官事務所は先月、裁判所への提出文書で、トランプ・オーガニゼーションが保険や税控除などの経済的便益を得る目的で、詐欺的または誤解を与える資産評価を使っていたことを示す「重大な」証拠があると主張。財務諸表には誤解を生んだり、抜けている部分が数多くあると述べていた。