ロシア軍、ウクライナ首都周辺などから完全撤収 米高官分析
(CNN) 米国防総省高官は6日、ウクライナ情勢に触れ、ロシア軍が首都キーウ(キエフ)と北部チェルニヒウ近くから完全に撤退したとの分析結果を明らかにした。隣国ベラルーシやロシア内で再編や武器弾薬などの補給を進めるとみられるとした。
同省高官は4日の時点で、キエフ周辺に集結していたロシア軍の約3分の2が撤収したとの見方を記者団に表明。これら部隊は北へ向かっており、ベラルーシで戦力立て直しを試みるとみていた。
兵士の補充もあり得るとし、ウクライナに再び戻って戦闘任務に就くとも予測。配備は親ロシア派武装勢力が拠点を築くウクライナ東部ドンバス地域になるだろうともしたが、あくまで分析上の推論とも釘を刺した。
ロシア軍の包囲が続くウクライナ南部の港湾都市マリウポリは6日時点で、「陥落していない」とも説明。侵攻開始後、ロシア軍が撃ち込んだミサイルは1450発以上に達したとも述べた。
一方、英国防省は7日までに、ロシア侵攻軍は組織の再構築を続けており、攻勢の主眼をドンバス地域に再び置いているとの新たな諜報(ちょうほう)を公表した。
諜報は4日時点のもので、ロシア政府に近い同国の民間軍事企業「ワグネル」の傭兵(ようへい)を含めたロシア軍は同地域へ移動しているとも指摘。英政府当局者は先週、ワグネル要員の戦線投入はロシア正規軍兵士の士気の低さや侵攻計画の停滞が大きな要因になっているとも述べていた。
在米の英国大使館の駐在武官は先月下旬、ウクライナの戦闘現場に送り込まれるワグネル要員は幹部を含め1000人以上に達する可能性があるとの見方を示していた。
ウクライナ侵攻作戦の手詰まりや大きな人的損失を受けロシアはワグネル要員をアフリカやシリアからウクライナへ「転戦」させている可能性が高いともしていた。