警官が容疑者目撃、発砲許可の返事間に合わず侵入許す 米小学校銃乱射事件
(CNN) 米テキサス州ユバルディの小学校で5月に起きた銃乱射事件で、事件前に警官が銃を持った男を目撃して上司に発砲許可を求めたにもかかわらず、返事が間に合わなかったために学校への侵入を許していたことが、専門機関が6日に発表した捜査当局の対応に関する報告書で分かった。
ライフル銃を携帯したユバルディ警察の警官は事件直前、小学校前で銃を持つ男を目撃し、発砲許可を求めた。しかし上司がこれを聞き逃したため、あるいは返事に時間を要したために、警官が返事を待つ間に男は校内に侵入した。
男は教室で児童19人と教員2人を殺害した。警官隊が教室に突入したのは1時間以上たってからだった。
別の警官は、小学校の駐車場に男がいた時に現場を通りかかっていたが、男の姿を見逃していた。
もしこうした機会を逸することなく、適切に対応できていれば、今回の悲劇は避けられた可能性があると報告書は指摘している。同報告書は、米テキサス州立大学で銃撃事件発生時の対応訓練を行っているALERRTセンターがまとめた。
報告書は、施錠されていなかった2つのドア、指揮系統の不備、校内の警官隊の配置、警察が校内に入った後の対応といった問題に焦点を当てている。
検証は、校内で撮影された映像や第三者の映像、ボディーカメラ、無線通信記録、警官の証言、捜査当局の発表などに基づいている。ただし今回の報告書は、まだ最終報告書とはみなすべきではないとした。
今後発表予定の報告書では、捜査当局の対応を誰が指揮したのかという問題を取り上げる予定。報告書の第1部では、「効果的な指揮系統の欠如」が司法当局の対応に支障をきたしたと指摘している。
事件発生当時、現場で指揮を執っていたとされるユバルディ学区の警察トップは先月、地元紙の取材に対し、自分が指揮官だったとは思わなかったと話し、別の警官が全体の指揮を執っていたと強調した。
報告書によると、最初に校内に入った警官隊が、銃撃発生の現場に向かった対応は適切だった。
しかし、犯行現場に隣接する教室にいた銃撃犯が、教室のドアに向けて銃撃を始めると、警官隊は後退した。
「理想的には、警官隊が犯人に銃撃された場合は正確な銃撃を返す必要がある。そのために警官隊は、それぞれの教室のドアの中央にある窓を使うことが可能だった」。報告書はそう指摘する。
「形勢を保つことや、正確な射撃を返すためにもっといい場所に進むことは、間違いなく危険であり、警官の一部が撃たれたり殺害されたりする可能性も大きかった。だが、警官隊が犯人を阻止して直ちに負傷者の手当てをすることもできたはずだ」
しかしいったん退いた警官隊が「勢いを取り戻して」被害者に到達するまでには1時間以上かかった。
「現時点で確定的な情報はない。だが今回の事件で死亡した人の一部は、もっと早く治療を受けていれば助かった可能性がある」と報告書は言い添えた。
学校の廊下の両側に警官隊を配置したことにも問題があったとしている。もしも容疑者が教室から出てきた場合、廊下の両側の警官が発砲を始め、互いを銃撃し合う状況になっていた可能性があった。
「チームで手早く連絡を取り合い、廊下の端にいた警官隊が退いて別の場所で配置に就くべきだった」
ドアの施錠については、銃撃犯が校内への侵入に使った校舎の外側のドアと、犯行現場の教室のドアに鍵がかかっていなかった問題を指摘した。
外側のドアは、銃撃犯が侵入する前に、同じ教員が開け閉めしていた。しかし鍵がかかっているかどうかをこの教員が確認しなかったために、侵入を許したとされる。
ただ、たとえ施錠されていたとしても、このドアには大きなガラスがはめ込まれていたことから、銃撃犯がこれを撃ち抜いてドアを開くことも可能だったと指摘している。
校内に侵入した銃撃犯は、隣り合った2つの教室に侵入していた。隣接する教室間のドアは施錠されていなかったようだと報告書は推測している。