米中間選挙、その仕組みを総ざらい

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今年の中間選挙は11月8日に投開票が行われる/CNN Illustration/Will Mullery/Getty Images

今年の中間選挙は11月8日に投開票が行われる/CNN Illustration/Will Mullery/Getty Images

(CNN) あなたが筋金入りの米国政治好きであっても、あるいは2年に1度だけ投票を気にかける人であっても、選挙戦の時期に聞く用語を改めて学んだり、候補者や選挙結果の予想方法を知ったりすることは有意義だ。以下では、多くの人が疑問に抱くだろう基本的な点について情報をまとめた。

選挙日はいつ

米国の連邦選挙は2年に1度、11月の第1月曜日の後の最初の火曜日に行われる。2022年の選挙日は11月8日だ。

投票できるのは誰

18歳以上のほとんどの米国市民が投票できる。その例外として重罪の有罪判決を受けた人々などがいるが、いくつかの州ではそうした人々でも投票できる。

投票する人は登録が必要か

ノースダコタ州を除くすべての州で有権者登録が必要となる。有権者登録の期限はさまざまだ。投票日の約1カ月前までの登録を求める州がある一方、多くの州は投票日当日の登録を認めている。

期日前投票できるのは誰

多くの州で、何らかの形で期日前投票をするための方法を提供している。郵送や本人による投票があるが、規則は州によってさまざまだ。

郵便投票ができる州はどこ

カリフォルニア、コロラド、ハワイ、ネバダ、オレゴン、ユタ、バーモント、ワシントンの8つの州と首都ワシントン(コロンビア特別区)は有権者全員に投票用紙を郵送している。他のいくつかの州は全員に期日前投票を認めている。その他の州では理由が必要となるものの、ほぼ全員が何らかの形で期日前に投票できる。

上院はなぜ3分の1しか改選しないのか

上院議員の任期は6年で、連邦選挙は2年に1回ある。上院の議席は3つのクラスに分けられ、2年に1回、約3分の1が改選となる。22年の選挙では「クラス3」の上院議員が対象となる。。上院選の状況は選挙戦の状況を党派に偏らず評価する「インサイド・エレクションズ」で確認できる。

下院はなぜ全435議席が2年に1度選挙の対象となるのか

下院は連邦政府の構成要素で最も国民近い部分となる。下院議員を2年に1度選ぶことで、政府の方向性について、有権者に対してより直接かつ即時の支配を与えることになる。

「フリップト・シート(flipped seat)」や「ピックアップ(pickup)」とは

選挙で議席がひとつの政党から別の政党に移る場合、その議席は「フリップト・シート」や「ピックアップ」と呼ばれる。ただ、区割りの変更が行われたため、今回9つの下院議席はどちらの政党のピックアップにも該当しない。そのうち7つは現職の存在しない新たな議席となり、2つはそれぞれ現職2人が互いに争う議席となる。

知事選の数が選挙ごとに変わるのはなぜ

州によって知事の扱いは微妙に異なる。知事の任期は50州中48州で4年だが、ニューハンプシャー州とバーモント州では2年だ。36州では大統領選のない中間選挙の年に知事選を行う。ケンタッキー、ミシシッピ、ルイジアナの3州では大統領選の1年前に、ニュージャージーとバージニアの2州では大統領選の1年後に知事選が行われる。

「インカンベント(incumbent)」とは

再選に向けて立候補している現職の議員や選挙で選ばれた公職者が「インカンベント」と呼ばれる。

特別選挙(補欠選挙)とは

上院議員が任期終了前に引退や死亡、辞職をした場合、通常は州知事がその議席を埋める代理の者を任命する。その後、有権者が自分たちの意思を反映する機会が設けられていることが多く、通常は次の連邦選挙がそのタイミングとなる。民主党上院のマーク・ケリー議員(アリゾナ州選出)やラファエル・ウォーノック議員(ジョージア州選出)が前回20年の特別選挙で選ばれ、今回は完全な6年の任期に向けて再び出馬しているのはそのためだ。

今年は、来年引退する共和党のジェームズ・インホフ上院議員の地元オクラホマ州で上院の特別選挙が行われる。カリフォルニア州では、副大統領となったカマラ・ハリス氏の後任に就いた民主党のアレックス・パディラ上院議員が、ハリス氏の残りの任期(来年1月まで)と、その後の6年間の任期をかけて出馬している。

下院議員は知事に任命されることがないため、空席となった場合はその穴を埋める特別選挙が必要となる。今年は故ジャッキー・ワロルスキー氏の残りの任期数カ月を担う人物を選ぶ特別選挙がインディアナ州で開かれる。同氏は今年8月に亡くなった。

優先順位付き投票とは

複数の市や州が、有権者の政治過程への参加を拡大させ、また政治を分極化させない可能性を含んだ方法を試みている。「優先順位付き投票」はメーン州やアラスカ州では大半の選挙で実施されている仕組みで、投票する人は1人の候補者を選ぶのではなく、好ましい順で候補者に順位を付けていく。もし「第1選択」で過半数を獲得する候補者が誰もいないときは、最下位の候補者が脱落する。脱落した候補者を選んだ人の投票については、「第2選択」の投票が採用される。この作業を勝者が決まるまで繰り返す。

「推定投票数」とは

ある選挙で予測される投票数は、以前行われた選挙の投票率や期日前投票の数、投票用紙の申し込み数、選挙前の世論調査といったデータをもとに予想される。この「推定投票数」は実際の投票数より多かったり、少なかったりする可能性がある。投票日の夜には分析の専門家がリアルタイムのデータを評価しながらこうした推定値が調整される。そのため、投票率に関する報道は上がったり下がったりするかもしれない。

出口調査とは

出口調査とは報道機関が共同で行う大規模な調査で、期日前投票や不在者投票、選挙日当日の投票を行った有権者を対象とする。選挙日に投票所から出る有権者に聞いたり、多くの州で期日前投票の投票所で行ったりする。郵便投票や期日前投票について把握するため、選挙前に電話やインターネットを使って行う方法もある。

「ダウンバロット(down ballot)」とは

投票用紙の一番上には、州内で最も多くの人々が目にする選挙が記載されている。大統領選の年なら、大統領候補が投票用紙の一番上に来る。よりローカルな選挙の候補者は投票用紙の「下の方(ダウンバロット)」に記載される。たとえば、大統領選のある年なら下院選の候補者はダウンバロットとなる。市長選の候補者は下院選候補者よりもダウンバロットとなる。

開票を待たずにCNNが結果を予測する場合があるのはなぜ

これはCNNが非常に真摯(しんし)に行っている作業となる。以前の選挙結果や出口調査、最近の世論調査、初期時点の投票率などの要因を考慮すると、ある特定の候補者が勝つと予測することが可能な場合がある。もし結果がひっくり返される可能性が少しでもあれば、CNNは当選確実の予測をしない。

CNNはどのように予測をしているのか

現在や過去の選挙の結果、リアルタイムの出口調査、最近の世論調査、有権者登録のデータなど数多くの要因に基づき、CNNの決定デスクが、ある候補者が勝利に十分な支持を得たと信頼できる予測を行えることがしばしばある。だが、それは予測であって最終決定ではない。公式な決定権は州の当局者や裁判所にある。

住民投票とは、州はどのようにしてある内容を投票対象にすると決めるのか

大半の法律は州議会や連邦議会で可決されるが、多くの州ではいくつかの問題が選挙期間中に直接有権者に問いかけられる。マリフアナ(大麻)の合法化から人工妊娠中絶や租税の措置まで問題は多岐にわたる。こうした住民投票により、有権者は自分たちの法令の方向性を決める、より積極的な役割を与えられることになる。

CNNが言う「重要なレース」とは、誰がそれを決めるのか

「重要なレース」とは主観的な言葉だ。多くの政治ウォッチャーは一般的に、選挙戦全体のうち11月に本当に争いとなるのは一部に限られるという点で一致している。こうした選挙戦が重要なレースに当たると一般的に考えられている。政党はこうした選挙戦に多くの資金をつぎ込み、メディアは多くの時間を割いて報道する。

インサイド・エレクションズによると、35議席を争う今年の上院選のうち、3議席が真に「五分五分」の状態、4議席が「やや共和党寄り」または「やや民主党寄り」の状態にある。下院選では19議席が真に五分五分の状態、さらに多くの議席が僅差(きんさ)の闘いになる可能性がある。知事選では5州が五分五分だ。インサイド・エレクションズの上院選、下院選、知事選の評価を見てみよう。重要なレースにはそのほか、接戦さでは劣るものの周囲に大きな影響を与える選挙戦や、著名な候補者が出る選挙戦も含まれる。

権力のバランスとは

下院や上院でそれぞれ過半数の議席を制した政党は、より多くの権力を持つ。権力を握った政党は立法を進める委員会をコントロールし、議場で採決にかける法案を決定する。下院では218議席以上を有する政党が多数党となり、議長選出では特定の候補者で団結することが可能なため議長を選ぶことができる。上院では51の投票数を確保した政党が多数党となる。

副大統領が上院で可否同数の場合の決定者となる仕組みは

副大統領は上院議長として務める公務がある。ただ、近代では議会で多くの時間を過ごす副大統領はほぼいない。可否同数となった採決では、副大統領はそれに決着をつける投票を行うことができる。現在の上院は共和党と民主党の票数が同数だが(無所属議員が2人いるが、通常は民主党と足並みをそろえる)、副大統領の決定票があるため、民主党が上院を支配している。

選挙日に勝者がわかるのか

あらゆる選挙戦で選挙日の夜に当選者が判明するとは考えないでほしい。期日前投票に多くの人が参加し、また接戦の選挙も多いことから、勝者が決まるまで数日から数週間かかる選挙戦がいくつかある可能性も十分ある。下院、上院とも議席数が僅差で、多数党が判明するまで数日かかる可能性がある。

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