トランプ氏、キリスト教福音派の指導者らを批判 大統領選で自身への支持表明せず
(CNN) 2024年の米大統領選に向けた自身最初の選挙イベントをわずか数日後に控え、トランプ前大統領が宗教保守派を厳しく批判している。イベントが開かれるサウスカロライナ州のキリスト教福音派は長年同州の大統領予備選で重要な役割を果たしてきたが、ここまでトランプ氏の3度目の出馬に対する支持を控えている。
トランプ氏は16日、保守系ジャーナリストのデービッド・ブロディ―氏のポッドキャスト番組でインタビューに答え、福音派の指導者らの「背信行為」を非難した。こうした指導者らは、トランプ氏の選挙運動への支持をまだ公言していない。トランプ氏は最近、共和党の大統領予備選で最も重要な票田の一つとなる福音派に関して人々を困惑させるコメントを続けている。
トランプ氏はブロディー氏に向かって、「人工妊娠中絶反対のため、ドナルド・トランプ以上に取り組んだ人間はいない」と強調。自身の任命した3人の最高裁判事の投票により昨夏、中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」が覆ったことに言及した。
続けて「重大な背信行為というのは政治の世界に付き物だが、現状その兆候が表れている」と語り、自身の現行の選挙運動に協力しようとしない福音派指導者らへの不満を表明した。
一方でトランプ氏は今月、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、低調な結果に終わった昨年の中間選挙について中絶反対派を批判。特にレイプによる妊娠や母親の命に危険がある場合などの例外を認めない人々の主張が多くの票を失うことにつながったと示唆した。これに対しては有力な宗教保守派や反中絶の活動家らが反論し、中絶に反対する団体のトップなどが、重要な選挙で中絶の争点化に消極的だった共和党の戦略を批判した。
保守派の非営利組織FFCを統括するラルフ・リード氏によれば、共和党の大統領候補指名獲得には福音派からの票が不可欠で、トランプ氏は誰よりもそれを理解している。16年には自らが福音派の支持を勝ち取り、大統領選に勝利しているからだ。
ただ中絶反対派の候補者が多く出馬すれば、今回の予備選の競争は激化するとリード氏はみている。候補者らがそれぞれの主張を展開する中で、福音派の票が味方につくか敵に回るかは判然としないのが実情だという。
一部の有力な福音派指導者は既にトランプ氏から距離を置くことを公言している。保守派の団体ファミリー・リーダーを率いるボブ・バンダー・プラーツ氏は「今こそページをめくる時だ。米国は先へ進まなくてはならない。品位をもって舞台を去ろう」とツイート。またキリスト教系の大学の学長を務めたエベレット・パイパー博士は昨年11月、米紙ワシントン・タイムズに寄稿し、中間選挙で共和党が圧勝できなかったのはトランプ氏に原因があるとの見解を示した。