黒人男性暴行死に全米で追悼集会、警察の暴力に抗議
(CNN) 米テネシー州メンフィスで警官が黒人男性のタイリー・ニコルズさん(29)に殴る蹴るの暴行を加える映像が公開されたことを受け、全米で28~29日にかけ、抗議集会や追悼集会が開かれた。
事件は今月7日に発生。公開された映像には、交通違反の取り締まりで車を止められたニコルズさんが、複数の警官に繰り返し警棒や拳で殴られたり蹴られたりする様子が映っていた。両手を後ろで押さえつけられた状態で暴行される場面もあった。
ニコルズさんはその後病院に運ばれたが、3日後に死亡した。
28日には抗議のデモ行進がニューヨーク市、アトランタ、ボストン、ボルティモア、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ポートランドなど全米の各都市で行われた。参加者はニコルズさんの名を掲げ、警察による暴行をやめさせるよう訴えた。
「事態がこのような展開になったことに心が痛む。私にも息子がいる」。ニコルズさんが暴行を受けたメンフィスの現場に立ったキアラ・ヒルさんは、ニコルズさんを追悼してそう語った。
ニコルズさんの死を受けて、暴行にかかわった警官5人(いずれも黒人)は免職となり、殺人などの罪で起訴されている。
ニコルズさんの母、ロウボーン・ウェルズさんはCNNの取材に応じ、病院に駆け付けた時にはニコルズさんはひどい打撲傷を負い、腫れ上がった姿でベッドに横たわっていたと回想。「それを見て、息子は助からないと悟った」と涙ながらに語った。
起訴された警官についてウェルズさんは「自分自身の家族に恥をかかせ、黒人社会に恥をかかせた」と訴える。
ニコルズさんは父親であると同時に、4人きょうだいの末っ子だった。日曜には洗濯物をして翌週の準備をする「いい子」だったとウェルズさんは振り返った。