ボルティモアの「完全破壊」計画、変電所襲撃の共謀罪で男女を訴追 米司法省
(CNN) 米メリーランド州の変電所を襲撃してボルティモア市を「完全破壊」する計画を企てたとして、男女2人が共謀罪で訴追された。米司法省が発表した。男はネオナチ団体のリーダーだったとされる。米国では過激主義団体が電力施設襲撃の傾向を強めているとして、専門家が警鐘を鳴らしていた。
エネルギー施設損壊の共謀罪で訴追されたのは、ブランドン・クリント・ラッセル、サラ・ベス・クレンダニエルの両被告。民族的・人種的動機に根差す過激思想に突き動かされて、メリーランド州を狙った破壊活動を企てたとされる。
米連邦捜査局(FBI)ボルティモア支部は6日の記者会見で、2人は電力網に最大限の損害を生じさせる目的で共謀したと述べ、「それを口にしただけでなく、脅威の遂行と過激主義的目標の達成に踏み出した」と強調した。
クレンダニエル被告は6日午後、ボルティモアの連邦地裁に出廷した。ラッセル被告は同日、フロリダ州オーランドの連邦裁判所への出廷が予定されていた。
クレンダニエル被告は先月、FBIの関係者が録音した会話の中で、電力施設を狙えば「この街全体を完全に破壊」できると話したとされる。両被告はこの関係者に、電力施設に関する情報を送っていたという。起訴状によると、ラッセル被告はノースカロライナ州で起きた変電所攻撃に関するユーチューブ動画もこの相手に送信していた。
FBIはまた、クレンダニエル被告が執筆したとされるマニフェストのような文書を入手した。この中で同被告は、ヒトラーや連続爆弾事件を起こして「ユナボマー」と呼ばれたテッド・カジンスキー受刑者、ノルウェーで2011年にテロ事件を起こした人物に言及していた。
調べによると、ラッセル被告はメリーランドの電力網襲撃を企てる以前にも、フロリダ州でルームメートと同地のエネルギー施設を襲撃する計画を立てていた。この計画は17年、ラッセル被告のルームメートのうち2人が別のルームメートによって殺害された事件を捜査する過程で発覚した。
捜査当局は6日の記者会見で、ラッセル被告とクレンダニエル被告の間には個人的関係とネット上の関係があったと説明したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
司法省によると、ラッセル被告は少なくとも昨年6月以来、「Homunculus」の名でFBIの関係者と連絡を取っていた。Homunculusはこの相手に対し、22年を通じて何度も重要インフラ襲撃について言及していた。
一方、クレンダニエル被告は「Nythra88」「Kali1889」の名で先月、FBIの関係者に自己紹介し、不治の病で死ぬ前に「価値あることを成し遂げたい」と語って火器を入手する手助けを求めたとされる。
FBI関係者はこの2人を相手にエネルギー施設襲撃の計画について話し合い、この計画についてクレンダニエル被告と1月24日に2時間近く話し合った会話の内容を録音した。
その5日後の会話でクレンダニエル被告は、ボルティモア周辺の施設を標的にすると語った。
起訴状によると、クレンダニエル、ラッセルの両被告は、別々の刑務所で服役していた18年ごろから連絡を取り合っていた。
ラッセル被告は未登録装置の所持や爆発物の不適切な保管の罪で、18年1月に禁錮60カ月を言い渡された。
当時のルームメートは調べに対し、ラッセル被告は自分たちが所属するネオナチ団体のリーダーだと証言。州間高速道路75号線に面した原子力発電所や送電線などのインフラ襲撃を計画していたと供述した。