ロシアとつながる個人、モルドバ政府への反乱を工作か 米当局者
ワシントン(CNN) 米情報機関は、ロシアの情報機関とつながる複数の個人がモルドバでの抗議行動を計画中だとみている。モルドバ政府に対する作られた反乱を扇動することが狙いで、最終的な目標はより親ロシア色の強い政権の樹立にあるという。ホワイトハウスの当局者らが10日に明らかにした。
米国は、ロシアによるモルドバ政府の弱体化が進んでいると認識している。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官が述べた。モルドバ政府は欧州連合(EU)との連携強化を目指している。
米国はまた、ロシア政府とつながる人物がモルドバ国内で反政府を掲げるデモ参加者を訓練している可能性があるとの兆候もつかんでいる。モルドバの首都キシナウではこの数週間、政権への抗議デモが猛威を振るっているが、その大半は国内のロシア寄りの政党によって組織されたものだ。
バイデン政権はこのほか、ロシア政府の働きかけでモルドバ全体の安定性に関する偽情報が流されているともみている。その一例はロシア国防省による先月の主張で、ウクライナがモルドバ国内の親ロシア派分離主義勢力の支配するトランスニストリア地域への侵攻を画策しているというものだった 。米当局者によればそのような非難は「事実無根の虚偽であり、裏付けのない不安を引き起こしている」。
モルドバのサンドゥ大統領は先月、公式の発言でロシア政府が「破壊工作員の絡む一連の活動を画策している」との見解を表明。これらの工作員は「軍事訓練を積み、民間人に偽装して暴力的な活動を遂行する」とした。具体的には政府施設への攻撃や人質行為に言及した。
当局者らによれば、バイデン政権は軍事的脅威がモルドバに間近に迫っているとは考えていない。それでも米国はロシアによるモルドバでの活動を注視。ロシアの進める欧州不安定化の動きに神経をとがらせている。バイデン大統領は先月サンドゥ大統領とポーランドのワルシャワで会談し、悪影響を及ぼすロシアの活動について話し合った。
米国は現在、ロシアの計画遂行を食い止める取り組みの一環で、こうした情報の機密解除を行っている。当局者らが明らかにした。同様にウクライナでのロシアの意図に関する情報についても、米国はこれまで定期的に機密を解除してきた。ロシア側の計画を明らかにすることを目的としている。