シリコンバレーバンク、資金調達できず経営破綻 米金融機関で史上2番目の規模
ニューヨーク(CNN) 2日前から預金流出と資金繰りの危機が続いていた米シリコンバレーバンク(SVB)が10日午前、経営破綻(はたん)した。金融機関の破綻としては米国史上2番目の規模となる。
カリフォルニア州の規制当局はSVBを閉鎖し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置いた。FDICが管財人の役割を担う。通常、FDICは預金者や債権者を含む顧客に資金を返済するため、銀行の資産を売却する。
FDICは保険対象の預金者について、遅くとも13日午前までに保険対象預金に完全にアクセスできるようになると説明。保険対象外の預金者については、「来週中に前払配当」を行うと明らかにした。
SVBはこれまでSVBファイナンシャル・グループ傘下にあった。CNNはSVBにコメントを求めたものの、返答は得られなかった。
歯車が狂い始めたのは8日。SVBは大量の有価証券を売却して損失を計上したと発表し、バランスシートを強化するため22億5000万ドル(約3000億円)相当の新株発行を行う方針を明らかにした。これが引き金となってベンチャーキャピタル企業はパニックに陥り、企業に資金を引き揚げるよう助言したと報じられている。
SVBの株価は9日に急落し、他の銀行株もつられて下がった。10日午前にはSVB株の取引が停止され、早期の資金調達や買い手探しを断念。他の複数の銀行株も一時的に取引が停止された。
SVBの経営悪化の一因は、ここ1年の間に米連邦準備制度理事会(FRB)が積極利上げを進めたことにある。
金利がゼロ付近だったとき、銀行は一見低リスクな長期米国債を大量購入した。だが、FRBがインフレ対策で利上げを行うと、こうした資産の価値が落ち、銀行は含み損を抱える結果になる。
米格付け会社ムーディーズのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏によると、金利上昇は特にテック企業への打撃が大きく、テック株の価値が損われたほか、資金調達も難しくなった。これを受け、多くのテック企業が資金繰りのためSVBから預金を引き出す事態となった。