消えつつある西部の水源、ウォール街が狙う次の投資先に
グリーンストーンの代理人を務めるグレイディ・ギャメージ弁護士はCNNに声明で、同社の「提案は様々な意見を十分に聞いたうえで、アリゾナ州水資源局から承認の勧告を受けて」おり、「沿岸の都市の発展の可能性にまったく影響を与えない」と述べた。
「土地の所有者である依頼人は用水権を保有する。それは、多くの場合100年以上前から灌漑(かんがい)している土地を保有する沿岸のすべての農家と同じだ。用水権は移譲可能な価値ある資産だ。土地の売買と変わらない。ただコロラド川の用水権の場合、州と連邦政府の基準に照らし合わせ、厳しい審査を経ないと移譲できない。提案された用水権移譲はいずれも個別に検討されている」(ギャメージ氏)
隣のモハベ郡のトラビス・リンゲンフェルター行政官は、コロラド川周辺地域の未来をかけた戦いについて説明し、東海岸の投資会社がこぞって流れに乗じようとしていると付け加えた。
「こうした企業は実に抜け目がない。西部に進出して地方の安い土地に目をつけ、購入し、しばらく居座った後、水の利権を売却しようとする。アリゾナの限りある資源をむさぼることを許すべきではない。地域社会にとって唯一の水の供給源である川の一部を彼らが狙っているなら、我々は戦わなくてはならない」(リンゲンフェルター氏)
こういった話はアリゾナ州だけではない。地元当局がCNNに語ったところでは、東海岸の企業はすでに米南西部のあちこちで灌漑用地を買い上げているという。なかでもとくに積極的な企業のひとつが、ニューヨークを拠点とする投資会社「ウォーター・アセット・マネジメント」だ。アリゾナ州、カリフォルニア州、コロラド州、ネバダ州に土地を所有しているほか、ニューメキシコ州とテキサス州でも購入を進めている。
ウォーター・アセット・マエンジメントのマット・ディセリオ社長は米国の水資源を「1兆ドル市場のチャンス」と呼び、「環境を汚染する豊富で安価な石油が前世紀を左右したように、今世紀は限りある清潔な水が主役になる」と考えて起業したと言っている。
ウォーター・アセット・マネジメントはインターネット上で、「水質と水供給を担保する企業や資産への投資」を企業ミッションに掲げている。
「ウォーター・アセット・マネジメントは、米西部の農業や水資源への投資に誇りを持っている」と、同社のマーク・ロバート最高執行責任者(COO)はメールでCNNに述べた。「コロラド川が記録的な水不足に直面する中、我が社は、何度となく口にされてきた水保全の切迫した要求に自発的に答えてきた。今後も引き続き、水不足の解決に貢献できるよう資産を運用し、保全推進に積極的に取り組んでいく」
コロラド川流域地域を統括する「コロラドリバーディストリクト」のゼネラルマネジャー、アンディ・ミュラー氏はこれに反論し、ウォーター・アセット・マネジメントをはじめとする東海岸の投資会社を「干ばつに乗じて暴利をむさぼっている」と語る。
「彼らは自分たちの金銭的利益のために、地域社会から生活の糧を搾取している」(ミュラー氏)