ウクライナ軍事支援で価格を過大計上、約4千億円余浮く 米
(CNN) 米国のバイデン政権がウクライナへこれまで供与した軍事支援の評価額を過大に見積もるミスを犯し、その金額は約30億ドル(約4140億円)に達していたことが21日までにわかった。
連邦議会や政権の多数の当局者がCNNに明かした。米国防総省当局者によると、この算定ミスは兵器などをウクライナへ引き渡す際、兵器の実際の価格に基づかず交換のために新たに調達する場合の価格を基準にしたことが原因だった。
新たに購入する兵器の価格は既存分より高めの水準になっているのが普通であり、結果的に支援額が誤って膨らんだことになった。
今回の計上ミスは関係議員らに18日に明かされたが、米下院の外交、軍事両委員会に所属する共和党議員のいら立ちを招く結果ともなった。ロシア軍への反転攻勢を準備しているとされるウクライナへの支援額を削ることになったとも反発している。
両委の委員長は2カ月前に把握した計上ミスを今になって伝える対応は極めて問題があるとの声明を発表。余分に出てきた約30億ドルは、反転攻勢を支えて戦争に勝利するためにウクライナが必要とする米陸軍戦術ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」などの兵器を引き渡すために用いるべきだとも主張した。
米国防総省は以前、大統領令に基づき兵器の在庫分を取り崩してウクライナへ差し向けられる兵器などの算定額は23億ドルをわずかに超える水準と報告。今回の会計ミスを受け、使い得る金額は約53億ドルに増えた計算となる。
約30億ドルの手当てが新たに可能となったことで、今年9月の会計年度切れ前に議会へウクライナ向けの新たな援助の予算措置を求める手間が省ける格好ともなった。