20年大統領選介入の訴訟、トランプ氏の言論の自由は「絶対ではない」と担当判事
(CNN) トランプ前米大統領に対して起こされた大統領選の結果を覆す試みを巡る裁判で、裁判を担当する連邦地裁のタニヤ・チュトカン判事は11日、今後検察から提供される証拠をトランプ氏がどのように扱うかについて、一定の制限を設ける意向を示唆した。
同日に開かれた審理の冒頭、チュトカン氏は、刑事被告人としてのトランプ氏の権利は守られるとしながらも、憲法が同氏に保障する言論の自由は「絶対的なものではない」と指摘。「今回のような刑事事件においては、被告の言論の自由に複数の規定が適用される」と述べた。
審理の最後には、本訴訟を刑事司法システムにおけるあらゆる通常の手続きと同様に進めることを約束しつつ、当事者から「扇動的な」声明が出されればその分公判に向けた動きを早める必要が出てくると警告した。公平な陪審員団を確保するための措置だという。
その上で判例を引用し「この国における司法手続きの根本原理とされていることだが、裁判は選挙と同様のものではない。会議場やラジオ、新聞の利用を通じて勝利するわけではない」「本件も例外ではない」と付け加えた。
審理は約1時間40分続いた。オバマ元大統領が指名したチュトカン氏は、2021年1月6日に発生した連邦議会議事堂襲撃事件に関する裁判をこれまで複数担当している。事件が米国の民主主義にもたらした害悪については、以前から積極的に発言してきた。
同氏はこの後、訴訟の証拠を巡る情報公開により多くの制限を設ける秘密保持命令を発出した。命令はトランプ氏に対し、裁判に関する機微な情報について一般に開示するのを禁止する内容。
トランプ氏は20年大統領選の結果を覆す取り組みに関連して、4件の罪状で起訴された。本人は先週、これらの罪を否定している。チュトカン氏はトランプ氏の弁護士らに対し、証人に恐れを抱かせる可能性のあるあらゆる公式声明について警告を発した。トランプ氏自身はこの日の審理に出席していない。
トランプ氏の公式声明については、今回発出された秘密保持命令の対象であるかどうかにかかわらず、それらが証人への威嚇や司法妨害につながっていないかどうかを極めて慎重に精査すると、チュトカン氏は強調した。
トランプ氏の弁護士を務めるジョン・ローロ氏は、「トランプ大統領は自らの公開の条件を綿密に守るだろう」と述べた。