新聞社のオフィスと発行人の自宅に家宅捜索、報道の自由財団が非難 米

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「マリオン・カウンティ・レコード」の発行人の自宅とオフィスで家宅捜索が行われた/Mark Reinstein/MediaPunch/AP

「マリオン・カウンティ・レコード」の発行人の自宅とオフィスで家宅捜索が行われた/Mark Reinstein/MediaPunch/AP

(CNN) 米カンザス州の捜査当局が、同州マリオン郡の週刊新聞「マリオン・カウンティ・レコード」発行人の自宅とオフィスの家宅捜索に入った。報道の自由擁護団体は、米憲法修正第1条違反に当たるとして強く反発している。

11日に行われた家宅捜索の対象となったのは、同紙の共同経営者で発行人のエリック・マイヤー氏のオフィスと自宅。マイヤー氏はこの捜索について、同紙が9日に掲載した地元の飲食店経営者に関する記事がきっかけだったと見ている。

一方、捜査当局は「なりすまし」事件の捜査に関する家宅捜索だったとしている。

マイヤー氏によると、マリオン・カウンティ・レコード紙の捜索ではコンピューターや携帯電話などが押収された。

捜索を受けた当時、マイヤー氏は98歳の母親の自宅にいて、母親は捜索から24時間もたたないうちに死亡したとマイヤー氏は話している。警察はこの家からマイヤー氏の携帯電話とコンピューターのルーター、2週間ほど使っていなかった古いノートパソコンを押収したという。

マリオン郡裁判所の裁判官が11日に署名した令状によると、家宅捜索はなりすましや「コンピューターに関する不法行為」の容疑で行われた。

マイヤー氏によれば、令状に基づき捜査当局による押収が認められたのは、9日の記事で取り上げた実業家カリ・ニュウェル氏に関する書類や記録だった。

さらに、「カリ・ニュウェル氏のなりすまし」に使用されたコンピューターなどの機器や、インターネットサービスアカウントの持ち主も捜索の対象とされた。

マイヤー氏は今月、ニュウェル氏が経営する飲食店で開かれた地元出身のジェイク・ラターナ下院議員(共和党)の交流イベントの場を訪れた。公開イベントだったにもかかわらず、メイヤー氏と同行のフィリス・ゾーム記者は退出を求められたという。

ゾーム記者は、ニュウェル氏が有効な運転免許証を持たずに車を運転したとされる情報を入手していたという。

ニュウェル氏はCNNの取材に対し、マイヤー氏と記者に退出を求めたことを確認した。理由について、同紙には「発言をねじ曲げたり操作したりするという評判が昔からある」と説明している。

その上でニュウェル氏は、同紙がニュウェル氏の身分証を不正に利用して、警察や私立探偵や保険会社しか知らない情報を不正に入手したと主張。同紙が「店からの退出を求められたことに対する悪意と報復から」問題の記事を掲載したと訴えている。

メイヤー氏は、捜査当局がオフィスからファイルサーバーや同サーバーのバックアップドライブ、メイヤー氏のコンピューターおよび記者2人のコンピューターを押収したと訴え、「こんなことは前代未聞だ。米国ではありえない」と憤る。

2人の記者はコンピューターだけでなく携帯電話も押収されたという。

マリオン警察は11日の捜索について、犯罪捜査を続けているとだけ述べ、詳細は明らかにしなかった。

ジャーナリストは連邦プライバシー保護法で守られているものの、ジャーナリストが不法行為にかかわっていると思われる場合など、限られた状況で召喚状なしの家宅捜索が認められる例外があると警察は説明している。

マイヤー氏によると、同紙には競合他社も含めて報道機関からの支持表明が相次いでいる。15日夜までに発行して16日に配る次号に必要なコンピューターなどを提供したいという申し出も寄せられているという。「警察が来たからといって、154年続いた毎週発行の伝統を破るわけにはいかない」とマイヤー氏は力を込める。

言論・報道の自由を支援する「報道の自由財団」は11日の家宅捜索について、「米連邦法、米憲法修正第1条、人としての基本的な良識に反する」として非難する声明を発表した。

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