トランプ氏の詐欺訴訟で判事が箝口令、自身の事務官に対するSNSでの攻撃受け
(CNN) 米国のトランプ前大統領と同氏の一族企業に対する民事訴訟を担当するニューヨーク州の裁判所の判事は3日、ソーシャルメディアへの投稿で自身の事務官を攻撃したトランプ氏を非難した。その上で訴訟の当事者らに対し、今後自身のスタッフへのコメントを一切禁止する命令を下した。
同裁判所のアーサー・エンゴロン判事は法廷で「今朝、被告の1人がソーシャルメディアに侮辱的で事実に反する内容を投稿した。個人が特定できるその書き込みは、私のスタッフの1人に関するものだった。以降、投稿の削除を命じ、実際に削除されたようだが、その内容は膨大な数の人々に送信された」と述べた。
その上で「私の裁判所のどのスタッフに対しても個人攻撃を行うのは受け入れられず、不適切だ。それらを容認するつもりはない」と強調した。
続けて、裁判の全ての当事者が裁判所のスタッフについて公に発言するのを禁止すると命令。違反した場合は「厳しい制裁」が科されると示唆した。
この時、トランプ氏は命令を下す判事の方をまっすぐ見つめていた。
トランプ氏は同日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿でエンゴロン判事の下で働く女性の事務官を攻撃。女性は民主党の上院トップ、シューマー院内総務の「ガールフレンド」だと主張していた。
投稿には2人が一緒に写る画像と、「何たる恥さらしか!」「この裁判は即刻取り下げられるべきだ」とのトランプ氏の書き込みが添えられていた。
同じ写真に収まる以上の関係がエンゴロン判事の事務官とシューマー氏との間にあるのかどうかは不明。CNNはシューマー氏のオフィスにコメントを求めた。
トランプ氏は2日にも、法廷の外で当該の事務官への非難を口にしていた。事務官を名指しはせず、「この裁判の判事はならず者で、ただのトランプ嫌いだ。唯一それ以上にトランプを嫌う人間が、あそこにいる彼の同僚だ」「彼女は我々が質問するとほぼ毎回、判事の耳元に向かって叫んでいる。恥さらしだ。全くの恥さらしだ」と語った。
当該の事務官とシューマー氏が写る画像は先週、詳細不明のX(旧ツイッター)のアカウントに投稿された。このアカウントのフォロワーは3日時点で200人に満たなかった。
この投稿では、事務官をシューマー氏のガールフレンドとは指摘しておらず、ただ「仲がいい」とだけ記している。「ガールフレンド」だとするトランプ氏の主張には根拠がない。
エンゴロン判事は先週、 トランプ氏と共同被告らに対し、約10年間にわたり虚偽の財務諸表を提供していたとして、詐欺で有責との判断を下していた。
トランプ氏らを提訴したニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は2億5000万ドル(約372億円)の損害賠償、トランプ氏らによる州内企業の役員就任の禁止、トランプ・オーガニゼーションの5年間の商取引の停止を求めて訴えている。